ガウディに魅入られた鍛冶屋が愛する2台のオールド・トライアンフ|VINTAGE LIFE

TRIUMPH|トライアンフ

無骨な鉄の塊に加えられた繊細なディテール。往年のトライアンフと、キャンプギア・ブランド「ラマ」の生み出す製品にはどこか共通する雰囲気が感じられる。まるで機械式腕時計のようなスミスのメーターや、ワイヤーで繋いだシフトポジションインジケーターなど、半世紀以上も前に生産された個体はディテールの一つひとつまで、うっとりするほど美しい。

TRIUMPH

▲静岡県浜松市に構える工房兼店舗「Soly Sombra」の前で撮影した宮本さんと2台のトライアンフ。店内ではラマ製品も販売されている。

若い頃に訪れたスペインで、アントニオ・ガウディの建築物に心を引かれ、帰国後鉄を素材とするアーティストとして活動をスタートしたという宮本さん。

何の経験もないまま、自宅の庭で作品の制作を始めたのが、鍛冶屋としての第一歩だったという。

現在は住宅や店舗向けの外構・什器などを中心に作品を製作する他、趣味が高じて始めたキャンプ用品ブランド「ラマ(llama)」も主宰。鉄を素材にした無骨さと真鍮や革を使った繊細さを組み合わせたキャンプ道具を続々と生み出している。

いずれの製品も熱した鉄を素材に一つひとつ手作業で加工を加えながら形を整えていくというもので、夏場は体重が数kgも落ちるほど過酷な仕事。

そんな忙しい日々の合間に、ふらっと走り出すために手に入れたのが二台のトライアンフだ。

TRIUMPH|トライアンフ

▲“タイガー100”とも呼ばれる1961年式のT100A(写真左)と、軽快なフットワークを楽しめる1957年式の“タイガーカブ”T20(右)。T100Aはバスタブフェアリングと呼ばれる貴重なスパッツ付きのリアフェンダーが特徴的なモデルだ。

宮本さんは、昔乗っていたバイクの感覚を思い出し、40代で再びバイクの世界へ。手に入れたのは国産車だったが、ヴィンテージ風にカスタムしている内に、やがて“本物のヴィンテージ” が欲しくなり、1957年式のタイガーカブT20を購入。

200ccという軽量な車体を生かして、近隣へ移動する際の“足”として使ってきた。さらに昨年、もっと遠方までの“旅”を楽しみたいと手に入れたのが1961年式のT100Aだ。

レストアの途中で前オーナーが手放したという車両は、丸2年かけて地元の専門店で組みあげてもらったというもの。

ネジの一本一本までこだわり、当時のもので作り上げられたというもので、塗装も含めて1960年当時のままに再現されている。

「これまではオートキャンプ向けの重くて頑丈な道具を作ってきましたが、今後はトライアンフで旅に出た時に使えるような、コンパクトなキャンプギアも手掛けてみたいですね」と宮本さんは抱負を語る。

趣味と仕事がオーバーラップする宮本さんのライフスタイル。愛車と一緒に向かった旅先で、果たしてどんな道具を生み出すのだろうか。

TRIUMPH|トライアンフ

▲1957 TRIUMPH TIGER CUB T20:7年ほど前に購入したという“タイガーカブ”T20は、もっぱら近所を移動するための足代わり。乾いた排気音と軽快なハンドリングが魅力。オーナーは宮本さんで三人目。代々浜松に在住するオーナーの間で引き継がれてきたという個体だ。

TRIUMPH|トライアンフ

▲1961 TRIUMPH T100A:昨年12月に納車されたばかりだというT100A。バスタブフェアリングは英国紳士が乗る際に、スーツを汚さないように装備されたものだという。スミス製のメーターはまるでスイス製の高級機械式腕時計をほうふつとさせるようなディテールだ。

OWNER_KAZUTOSHI MIYAMOTO
本業は鍛冶屋。家具や店舗什器、外構などをアイアンクラフトで仕上げる職人。愛車は2台のトライアンフと、ランドローバー・ディフェンダーにキャンピングトレーラーのエリバパック。キャンプギアブランド「ラマ(llama)」も主宰する。

CONTACT|Sol y Sombra (llama)
WEB|http://www.solysombra.jp
PHOTO|KAZUTOSHI AKIMOTO
TEXT|KAZUTOSHI AKIMOTO
PUBLISHED|2023
SOURCE|Cal Vol.52

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