TRDが製作した“ありえへん!?”モンスタートラック

セマショー 2023|SEMA SHOW 2023

2023年のセマショー(SEMA SHOW)において最も注目を浴びた一台は、トヨタ自動車のブースに出展された「FJブルーザー・コンセプト」だった。このクルマは新型ランドクルーザーがアメリカ市場へ導入されるのを記念したプロジェクトカーであり、貴重なFJ45をベースに大胆なカスタムが施されたオフロードカスタムである。

TOYOTA FJ BRUISER CONCEPT|トヨタFJブルーザー・コンセプト

▲1966年型FJ45ピックアップトラックをベースにしたFJブルーザー・コンセプト。

1966年型FJ45ピックアップトラックをベースにしたこのFJブルーザー・コンセプトは、725馬力を発するTRD製NASCAR用358cu.in.V8を搭載。トランスミッションはレース用に開発された3速A/Tで、これに2WD・4WD共に4速という副変速機を組み合わせている。

ロッククローラーを意識したカスタマイズから、メカニズム的なポイントも多いが、何よりもまずFJ45という貴重なモデルをベースにしていることで、マニアからも大きな注目を浴びた。

TOYOTA FJ BRUISER CONCEPT|トヨタFJブルーザー・コンセプト

▲足まわりは極端にストロークの大きいロッククローラー仕様だ。

FJ45ピックアッップトラックとは?

ベースとなっているのは40系ランドクルーザーの中でも、海外専用モデルとして企画されたピックアップ・トラック版のFJ45だ。

FJ45は1963〜1967の4年間のみ生産されたモデルで、ロングホイールベースのシャシーに、4ドア・ダブルキャブ+ショートベッド(ベッド=荷台)と、2ドア・シングルキャブ+ロングベッドを組み合わせたモデルの2種類がラインナップされていた。

ロングベッド・モデルは側面にタイダウンループを備えたベッドが備わっており、取り外し可能なハードトップ・ボディを架装、ごく稀に日本国内でも逆輸入された個体が流通している。一方のショートベッド・モデルは極めて台数が少なく、現存する個体もわずか。「FJブルーザー・コンセプト」はこの内、前者のロングベッド・モデルをベースにしているが、ベッドを含めてボディは大幅にカスタマイズされている。

TOYOTA FJ BRUISER CONCEPT|トヨタFJブルーザー・コンセプト

▲大幅にカスタマイズされたボディは2ドア・シングルキャブにカスタムされたショートベッドの組み合わせ。

車両の製作を担ったのはTRD USA,Inc.

車両の製作はカリフォルニア州コスタメサを拠点とするTRD USA,Inc.(トヨタ・レーシング・デベロップメント)が中心となって行われた。

TRD USA,Inc.はアメリカ国内におけるトヨタのモータースポーツ活動の中心的な役割を担っており、NASCARやNHRA、その他のレース・シリーズにおいて、レーシングエンジンの設計や開発、製造から組み立てまでを行っている。エンジニアリングからサーキット・サポートまで、まさにトヨタのモータースポーツ活動全般を支えている存在だ。

「FJブルーザー・コンセプト」はそのTRD USA,Inc.により、前述した通り排気量358cu.in.(5.8L)のNASCAR用エンジンを搭載しているが、このエンジンはレギュレーションに合わせる必要がないためNASCAR仕様の670馬力からさらにチューニングが進められたもの(725馬力)となっている。

これにランチョ・ドライブトレイン・エンジニアリング(Rancho Drivetrain Engineering)製の3速A/Tやマグナフロー(MagnaFlow)製のエグゾーストを組み合わせて、パワートレーンを完成させている。

TOYOTA FJ BRUISER CONCEPT|トヨタFJブルーザー・コンセプト

▲エンジンは725馬力を発するTRD製NASCAR用358cu.in.V8。

ロッククローラーとは?

車両はロッククローラーをテーマにしたオフロード向けのカスタマイズが施されているのも大きな特徴だ。

ロッククローラーとは、4WDにおけるエクストリームスポーツのひとつ「ロッククローリング」用の車両のことで、岩場を中心とした厳しい地形を走破するために、柔軟なサスペンション、長いストローク、極端に低いギアレシオなど特殊な装備を奢った車両である。

「FJブルーザー・コンセプト」ではフルチューブシャーシにロールケージを組み合わせた剛性の高いカスタムフレームに、フォックス(Fox)製ショックとアイバッハ(Eibach)製スプリングを組み合わせたフルトレーリングアームサスペンションを取り付けている。

足元は42インチのBFグッドリッチ(BF Goodrich)製KrawlerT/A KXタイヤと20インチのメソッド(Method)製ビードロックホイールの組み合わせで、フルバンプの状態ではタイヤ上端がフロントガラスのラインまでストロークするという。

TOYOTA FJ BRUISER CONCEPT|トヨタFJブルーザー・コンセプト

▲インテリアはコンプリート・カスタム(Complete Customs)によるトリム。格子縞は1966年当時のデザインを再現したものだ。

究極のオフローダーを目指した「ありえへん」装備の数々

さらに驚きなのは副変速機だ。この「FJブルーザー・コンセプト」にはアドバンスド・アダプター・アトラス(Advanced Adaptor Atlas)製のトランスファーケースを備え、4つの2WDモードと同じく4つの4WDモードが選べるようになっている。

ドライブトレインのセットアップにより、ローギアでは7000rpmで時速12マイル(約20km/h)、ハイギアでは同じ7000rpmで165mph(264km/h)まで達することが可能。

しかもボディ下面には無限軌道(キャタピラー)を装備しており、下面が接地してしまうようなセクションでも自力で前後進が可能となっている。もちろんドライバーは室内でステアリングを握ったまま、これらの装置をコントロールできる。

市販車では考えられない、まさに「ありえへん」装備だ。

TOYOTA FJ BRUISER CONCEPT|トヨタFJブルーザー・コンセプト

▲ボディ下面はフラットになっており、さらにセンターセクションには無限軌道(キャタピラ)を装備。ロックセクションでもスムーズに走破できる驚きの装備を備えている。

TOYOTA FJ BRUISER CONCEPT|トヨタFJブルーザー・コンセプト

▲ベッド部には増設されたラジエターと冷却ファン、スペアタイヤなどが設置されている。

TOYOTA FJ BRUISER CONCEPT|トヨタFJブルーザー・コンセプト

▲ロールケージを備えた車体はオリジナルのシルエットを残しながらも大胆にカスタマイズされている。

TOYOTA FJ BRUISER CONCEPT|トヨタFJブルーザー・コンセプト

▲トランスミッションはレース用に開発された3速A/Tで、これに2WD・4WD共に4速という副変速機を組み合わせている。

TOYOTA FJ BRUISER CONCEPT|トヨタFJブルーザー・コンセプト

▲ローギアの際には7000rpmで時速12マイル(約20km/h)を発揮する副変速機。

TOYOTA FJ BRUISER CONCEPT|トヨタFJブルーザー・コンセプト

▲3連スロットを設けたエアインテークも外観上のポイントになっている。

TOYOTA FJ BRUISER CONCEPT|トヨタFJブルーザー・コンセプト

▲フルチューブシャシーにロールケージを組み合わせた剛性の高いカスタムフレーム。

TOYOTA FJ BRUISER CONCEPT|トヨタFJブルーザー・コンセプト

▲前後アクスルにはクーリー(Currie)製のディファレンシャルを備えている。

SPECIFICATIONS
BOOTH TOYOTA
MODEL TOYOTA FJ BRUISER CONCEPT
ENGINE 358cu.in.(5867cc)|725HP
TRANSMISSION 3 SPPED AUTOMATIC
TIRE 42inch BF Goodrich Krawler T/A KX
WHEEL 20inch METHOD BEADLOCK
TOP SPEED 165mph(265km/h)
PRODUCTION TRD USA,Inc.

【出展車両などの詳細は以下のセマショー2023リンク集を参照ください】
https://calog.net/archives/tag/2023-sema-show

ABOUT SEMA SHOW|「セマショー」とは
「セマショー」は米国自動車用品工業会(Specialty Equipment Market Association=SEMA)が主催する世界最大級のアフターパーツトレードショー。毎年11月の第一週にラスベガスコンベンションセンター(LVCC)で開催されている。会場は屋内床面積だけでも約5.5万坪。幕張メッセ(約2.2万坪)の倍以上もある巨大なイベントである。

※本記事は出版物(本誌)よりも先に、Cal Online(https://calog.net)にてオンライン版の記事を先行公開した「デジタルファーストアーティクル」にて制作されたものです。

CONTACT|SEMA
WEB|https://www.semashow.com/
PHOTO|KAZUTOSHI AKIMOTO
TEXT|KAZUTOSHI AKIMOTO
PUBLISHED|2023
SOURCE|Cal Vol.55

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