EDITORS COLUMN|クルマを停めるだけのガレージから柔軟な使い方のできるガレージへ

20数年前、我が家を建てたときにもっとも欲しかったのがガレージだ。パズルを組み合わせるようになんとかクルマが4台入るようにと、ガレージのプラン作りへ真っ先に取り掛かった。作業台はどう置くのか、工具ケースはどこに置くか、排気ダクトをどうするか、窓の位置はどこにするか……。そんなことを考えながらガレージの間取りを考えた。あれから20年、あちこちガタのきた我が家を振り返りながら、改めて、ガレージのあり方について考えたい。

▲本誌47号「DIY特集」で掲載した我が家のガレージ。1台分のスペースを使ってキャンプグッズに囲まれた空間を作ってみた。

家を建てた当時は、雨風に晒したくない古いアメリカ車ばかりを乗り回していた。加えて自動車メーカーから撮影用に車両を借りて来ることも多かったため、一時的に屋内保管できるスペースも必要だった。

つまり、ガレージは仕事と遊びのどちらの観点からも必要だったのである。

当時は、週末になると壊しているんだが、直しているんだかわからないようなクルマいじりも楽しみだった。ジャッキやツールボックスまで用意して、オイル交換をすることが、趣味のひとつになっていたのだ。

あれから20数年。古いクルマはほとんど動かすことがなくなり、オイル交換もディーラー任せ。ツールボックスもジャッキもほとんど使わなくなった。クルマの下に潜り込むような作業は、もう自分じゃしたくなくなった、というのが一番の理由だ。

むしろ、もっとゆったりと1日を過ごせるような、そんな空間が欲しくなった。

そもそも、子ども達が独立したことから使うクルマも減った。今では常時停めているのは2台だけ。残り2台分のスペースは“クルマを停める”という用途以外の方法で活用している。

住宅は将来のライフスタイルの変化に合わせて柔軟に変化できるものにすべきだといわれるが、ガレージもまた同様に、ライフスタイルの変化に合わせて使い方を変えられるように設計しておくべきだと、この20年間を振り返って改めて思う。

クルマ1台でも3×6メートル程度の空間を必要とするガレージだけに、そのスペースを無駄にしておくのはあまりにももったいない……。

▲写真はガレージを活用したキャンプ部屋実例(姉妹誌キャンプグッズ・マガジンにて掲載)。

多目的スペースとして、将来転用できるガレージとは

我が家の話に戻すと、クルマが減って空いたスペースには、キャンプ用品を並べたリラックススペースと、簡単な撮影ができるミニスタジオをこしらえた。

クルマのメンテナンスをすることはなくなかったが、暇な時はガレージでオイルランプに火を灯しながら、ただのんびりと過ごす時間が増えた。オイルジョッキの代わりに、冷蔵庫には冷えたビールジョッキが収まっている。

所詮ガレージであるから、あまり大きなものは撮影できないがスタジオ撮影ができるスペースが手に入ったことも大きい。

姉妹誌「キャンプグッズ・マガジン」の撮影は、その大半を自宅のガレージでできるようになった。

もちろん、木工作業をしたり、組み立て式の家具をこしらえたりといったこともガレージでできることだ。

雨・風に関係なく作業のできるスペースがあるというのは、想像以上に重宝することが多い。

こうした多目的スペースとしてガレージを活用するには、建築時に「母家側と繋がった出入口」「上下水道」「土足のまま使えるトイレ」などを計画しておくといいだろう。

さらに細かなことを追加するならば「コンセント」や「ネット回線」「空調」などにも気を配りたい。もちろん、予算との兼ね合いもあるだろうが、なるべく柱の少ない大空間にしておくと、後々の用途はより柔軟になるはずだ。

特に開口部や水回りなどは新築時に計画しておかないと、後から追加するのが難しい部分だから、後々の使い方をよく考えて、ガレージも計画したい。

11月末に発売されたCal vol.55では「ガレージ」や「ガレージのある家」を取り上げたが、ガレージの使用目的が「木工作業」だったり、「趣味の部屋」だったり、最初からクルマを停める以外の使用方法で活用している実例も紹介させてもらった。

どれもクルマを停めるだけのガレージから、柔軟な使い方を楽しめるガレージだ。

趣味もライフスタイルも、時と共に変わっていくのだから、ガレージもまたその役割が変わってもおかしくない。後から後悔しないように、柔軟な使い方のできる多目的スペースとしてガレージを計画するのが賢明なのではないだろうか。

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PHOTO|KAZUTOSHI AKIMOTO
TEXT|KAZUTOSHI AKIMOTO
PUBLISHED|2023
SOURCE|Cal Vol.52

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