ハワイでも貴重なオーバルウインドウ |1956 フォルクスワーゲン・タイプ 1 ・セダン

1970 Volkswagen Type1 Sedan

美しい海に囲まれたオアフ島。中でも世界で一番美しいビーチと呼ばれるカイルアビーチの美しさは別格だ。そんなエメラルドグリーンの海を背景にした絶景のビーチに、オーバルウインドウのバグが滑り込んできた。オーナーが愛してやまない、これまた美しい1台だ。

別名レインボーステートとも呼ばれるハワイ州。11月~4月頃までは雨季となり、雨が降る日も多い。ただし1日中雨が降ることは少なく、雨上がりにはあちこちで虹が現れる。緑に覆われた渓谷にかかる七色の美しい虹は、ハワイを訪れた観光客だけでなく、この地で生活する人々にとっても心の糧となるものだ。

一方で、雨や湿気は錆の要因にもなるため、ヴィンテージカーのオーナーにとっては悩みの種。加えて周囲を海に囲まれたオアフ島では潮風による塩害対策も必要であり、愛車のコンディションを維持するには相応の努力が求められる。

ハワイのVWオーナーズクラブである「VW CLUB OF HAWAII」では、こうした南海の島特有の気候にも負けず、愛車の美しいコンディションを維持し続けているメンバーが多い。

クラブ・メンバーのひとりとして、カーショーにも積極的にエントリーするシェーンもまた、オーバルウインドウのタイプ1セダンを大切に維持し、常にクリーンな状態に保ち続ける努力を惜しまないカーガイだった。

1970 Volkswagen Type1 Sedan

全米ベストビーチトップ10にランキングされるほど美しいカイルアビーチで撮影した1956年式のタイプ1セダン。

1956年式のタイプ1は、外装色こそオリジナルではないが、とことんヴィンテージ・スタイルで仕上げられた1台。そのオーナーであるシェーンはハワイで生まれ、ハワイで育った根っからのハワイアンだ。陽気な性格で笑顔を絶やさない彼だが、いざクルマの事となると些細な汚れも気にしては拭き取るなど神経質な面も見せる。もっとも常に愛車に気を遣うのには理由がある。シェーンは高校生の頃、1968年式のタイプ1を初めての愛車として手に入れて以来、VWばかりを乗り継いできたという、根っからのVWマニアなのだ。

ハワイのハイスクールに通っていた15歳の時、祖母からプレゼントされたというその1968年式の車両は、現在もガレージで当時の姿のまま保管されているそうだ。

現車の1956年式オーバルウインドウは、その1968年式に追加する形で、10年ほど前にハワイ島ヒロの友人から購入した個体。以来シェーンは2台の空冷モデルを所有し、どちらも大切に乗り続けているのだ。

2台のコンディションを保つためにシェーンは「ドライブするたびにきちんと洗車をするんだ。もちろん、いつもハンドウオッシュだよ」と微笑む。道路のコンディションも決して良くないハワイでは、ヴィンテージカーを走らせるのにも気を遣う。

舗装路の一部が陥没していることも珍しくなく、特にローカルな道を走る時は気をつけないといけない。維持するのも、走らせるのも、細心の注意が必要なハワイのヴィンテージカー事情だが、シェーンにいわせれば、「そういう気遣いが、楽しいのさ」。

CONTACT|VW CLUB OF HAWAII
WEB|https://www.vwclubofhawaii.com
PHOTO|KAZUTOSHI AKIMOTO
TEXT|SHINOGU SATO
PUBLISHED|2021
SOURCE|VOLKS WAGEN LIFE STYLE BOOK Vol.7


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