1970 VW TYPE1 CLASS 11 BAJA STYLE |SCOREクラス11スタイルの“ビートル”

BAJA 1000では、レースの発足当時からフォルクスワーゲンがエントラントから高い人気を誇ってきた。もともとRRであることから駆動輪にトラクションをかけやすい設計に加え、軽量なボディはスタックしても脱出が容易。こうした理由からフォルクスワーゲン・タイプ1が重宝されたのだ。近年でこそ、その姿は貴重になりつつあるが、今でもBAJAでは可愛いルックスの“ビートル”が過酷な大地を疾走する姿を垣間見ることができる。

▲オーナーの木津さんによれば「あくまでもクラス11っぽく仕上げたもの」という1970年式のタイプ1。とはいっても車高を上げたうえで、スペシャルオーダーしたリザーバータンク付きのFox製ショックアブソーバーを使うなど、手の込んだ仕様になっている。
BAJA 1000を主催するSCOREのルールブックには、フォルクスワーゲン・タイプ1で参戦するためのクラスが明確に記されている。代表的なのが「クラス11」や「クラス5」だ。
前者のクラス11は改造範囲が極めて限定された、いわばタイプ1専用の市販車クラス。このため砂地や岩場、急斜面などが続くコースを走破するには高い運転技術が必要で、あまりの過酷さから途中でリタイアする車両も多い。まさに完走そのものが大きな名誉とされている。
一方のクラス5は改造の自由度が格段に高く、エンジンのカスタマイズや足まわりなどの大幅な強化が許されており、俗に“バハバグ”と呼ばれるようなタイプ1のオフロード仕様を想定したクラスだ。

▲足元はモーベルワーゲン(MOBELWAGEN)製のレースホイールにBFグッドリッチ製A/T(LT215/75R15)の組み合わせ。木津さんは自動車部品の輸入業務に従事しており、こうしたパーツ類の手配などは勤務先のブルーレーベル・オートエンジニアリングで承っているそうだ。
ここで紹介する木津和教さんは、そのクラス5でBAJA 1000へ参戦したという国内では数少ない経験の持ち主。しかも国内ではクラス11をイメージしたタイプ1を所有しており、今回は愛車と共に登場を願った。
木津さんによれば、レース用の車両はいつでもオフロードレースにエントリーできるようにアメリカに置いてあり、国内では写真の1970年式タイプ1を足にしているという。
もっとも、BAJA 1000との関わりはフォルクスワーゲンではなく、ピックアップトラックから。もともとタンドラをベースにしたプレランナーを所有していたそうで、昔からBAJA 1000にも憧れを抱いていたという。

▲ドアパネルに描か れた“WALLENTINE Motorsports”のサインは、アメリカでのレース活動をサポートしてくれるレースショップの屋号。
その夢を実現させるためにタンドラを売却、BAJA 1000参戦の軍資金に充てて準備を始めたというが、プライベート参戦のエントラントにとって、もっとも現実的だったのがタイプ1での参戦だった。
運良く、アメリカの名門チームが製作した中古の“バハバグ” を入手し、アメリカ国内で開催されるミント400に初参戦したのが2023年。この時、オフロードレースの面白さを実感し、同年11月に憧れのBAJA1000へのエントリーを果たした。
残念ながら初めてのBAJA 1000ではステアリングを握る前にチームがリタイヤしてしまったそうだが、現地でプレランをした際の感想を聞くと「BAJA 1000はミント400とは比べ物にならないコースでした。マジでここを走るの? と思うような場所ばかりで、難易度の高さに本当にびっくりしました」と語る。

▲エンジンは1600ccのシングルキャブ仕様。もともとクラス11のレースエンジンをアメリカのレースエンジンショップにて組んでもらったもの。後に、完成したエンジンを日本へ輸入してストリート用にデチューンしたという。
海外のレースということもあり、プライベート参戦には費用負担も大きく、毎年参戦するのは難しいそうだが、「FLAT4」のサポートを受けながら海外でのレース参戦を続けている。
日本から北米のオフロードレースへ参戦する数少ない日本人の活躍は、SNSでもチェックできる。

▲クォーターウインドウにはデカール類を張って雰囲気作りを楽しんでいる。

▲ミラーもBAJAスタイル。ガードパイプ付きのドアミラーに変更されている。

▲木津さんのレース活動をサポートしているのは、空冷フォルクスワーゲンのスペシャリストである「FLAT4」だ。

▲インテリアはホールド性の高いバケットシートを除けば、ほぼオリジナルに近い。普段使いに適したレベルで仕上げられている。

▲アメリカに保管してある木津さんの愛車はクラス5の“バハバグ”。写真はカリフォルニアのローカルレースにエントリーした時のもの。派手なジャンプシーンはトロフィートラックにも負けていない。(写真提供:木津さん)

▲2023年のBAJA 1000。車両は参戦したチームのクラス5仕様で、ドライバーのひとりとしてエントリーした際のものだ。(写真提供:木津さん)
1
2






