八ヶ岳を望む絶好のロケーションに建ったジュエリー作家のアトリエ

八ヶ岳を望む絶好のロケーションに建ったジュエリー作家のアトリエ

金属を加工してリングやペンダントなどを生み出すジュエリーデザイナー。きらびやかな作品とは裏腹に、その製作工程ではさまざまな工具・機械が必要となり、切削・加工・研磨を行う。当然、音や振動も発生する。それはまるで小さな工場のようだ。こうした作業環境を改善するべく、生活拠点と一体になっていた工房を独立させたのが、ジュエリーデザイナーとして活躍するKさんのアトリエだ。

八ヶ岳を望む絶好のロケーションに建ったジュエリー作家のアトリエ

▲写真左奥がジュエリーの加工スペース。さまざまな材料や工具、機械がならぶ小さな工場だ。作業に没頭している時でも、隣にある窓からお客さんの来訪にも気が付く。

西に富士見パノラマスキー場のある入笠山、東には八ヶ岳を望むという、絶好のロケーションを誇る長野県富士見町。標高900~1400mに位置していることから、冬は厳しいが、夏は涼しい高原地帯となり、町内には特産の高原野菜を作る農家も数多い。

そんな富士見町の郊外に、バナナ色をした可愛い小屋がポツンと建っている。オーナーは東京から移住してきたジュエリーデザイナーのKさんだ。

長野への移住は、小渕沢にお母さんが定宿としていたお気に入りのホテルがあったことがきっかけ。その雄大な自然に魅了され、小渕沢を訪れる度に「いつかはここへ住んでみたい」と思い描いてきたそうだ。

八ヶ岳を望む絶好のロケーションに建ったジュエリー作家のアトリエ

▲「スタイル01」は標準で軒やウッドデッキが装備されるが、Kさんのアトリエではウッドデッキを標準キットのものよりも拡張している。

小渕沢の西隣にあたる富士見町へは、移住先の不動産を探し始めた頃に初めて訪れた。Kさんは、その広々とした風景に惹かれ、森に囲まれた小渕沢よりも、むしろ「定住するならここかも」と考えはじめたそうだ。

こうして、富士見町内にあった家を購入し、親子3人での田舎暮らしがスタート。 移住後、しばらくは母屋の一部でジュエリーの制作をしていたそうだが、納期が迫ると夜中まで作業することも多くなり、生活拠点とは切り離した形の工房が必要になってきた。

そこで、同じ町内にあったキットハウスの大手メーカー「グリーンベル」へと相談。工房にぴったりな「スタイル01」を敷地内に建築することになった。 バナナ色の小屋が出来上がったのは20210年。完成した小屋は、冬期の寒さを考慮して、窓はペアガラス、ドアも住宅用という気密性の高い建具を組み合わせたほか、断熱材を加えることで、夏・冬でも快適に作業のできる空間としている。

八ヶ岳を望む絶好のロケーションに建ったジュエリー作家のアトリエ

▲外観は福杉を標準仕様とは異なる横張りにして仕上げている。屋根材は標準キットのアスファルトシングル。躯体は住宅と同じ2×4構造だ。

明るい室内は、換気口にもなる開閉可能なトップライトなど、合計4ケ所に設けられた窓の効果も大きいようだ。さらに手元が暗くならない様に、ペンダントタイプの照明に加え、蛍光灯の照明も追加している。

室内にはリューターや洗浄機など、作業時に音や振動を発する工具や機械も並ぶが、「小屋ができてからは気にせず作業に没頭できるようになりました」とKさん。根を詰めて制作したジュエリーが完成すると、ほっと一息つくように窓の外に広がる八ヶ岳へと視線を送る。

真っ青な空の下、凛とした表情でそびえ立つ雄大な山々を見ると、「ここへ越してきて良かった」と、あらためて感じるそうだ。

八ヶ岳を望む絶好のロケーションに建ったジュエリー作家のアトリエ

▲作業に集中している時には「手早く食事をつくりたい」との理由から、室内にはミニキッチンも設けられている。電気・水道・ガスを完備した小屋は珍しい存在だ。

八ヶ岳を望む絶好のロケーションに建ったジュエリー作家のアトリエ

▲住宅並みの性能に仕上げた室内。床はフローリング。壁は断熱材を挟んで内壁は壁紙仕上げに。開閉可能なトップライトは夏場の換気対策としてオプションで追加。

八ヶ岳を望む絶好のロケーションに建ったジュエリー作家のアトリエ

▲「スタイル01」の標準キットには含まれていない開閉式のトップライト。夏場に天井付近の熱気を排出する目的で導入したもの。

CONTACT|Green bell
WEB|https://www.green-bell.co.jp
PHOTO|KAZUTOSHI AKIMOTO
TEXT|KAZUTOSHI AKIMOTO
PUBLISHED|2021
SOURCE|小屋 ちいさな家の豊かな暮らし Vol.4
Copyright © CLASSIX
※本WEBサイトにて掲載されている写真及びテキストの無断転載を禁じます。
※本記事の内容は出版物の掲載時点ものとなります。


関連記事

AD

ページ上部へ戻る