20世紀の遺産 アイクラーホームに暮らす|オリジナルのディテールを残す 貴重な初期のアイクラーホーム
- 2025/12/13
- LIFE
- EICHLER HOMES, アイクラーホーム, ジョセフ・アイクラー

1960年築という初期のアイクラーホームが140戸も軒を連ねている場所が、南カリフォルニアのオレンジにある。デベロッパーとして活躍したアイクラーは魅力的な土地を探し出しては、そこにデザイン性に優れた住宅を建築し、比較的安価な価格帯で提供した。人種や宗教に左右されず、誰もが望めば手に入れられた美しくも機能的なアイクラーホームは、半世紀を経ても変わらずこの地で愛され続けている。

▲暖炉のあるテレビルームは、アイクラーホームのプランLA-81Rでは本来ファミリーリビングだった場所。プラン上ではマルチパーパスルームとなっている。ちなみにLA-81Rでは、キッチンはホビールームとして活用することも想定されていた。
HOUSE DATA
OWNER|ROBERT ERWOOD
BUILD|1960
DESIGNER|ANSHEN & ALLEN
住まいのオーナーはペンシルバニア出身のロバートさん。カリフォルニアの気候に憧れて移住し、現在はケミカル系の企業で営業職として働いている。6年前に手に入れたというアイクラーホームは、当時94万ドルだったが、現在は倍近い165万ドル(邦貨換算で2億3000万円)程度の価値があるとされている。
アイクラーホームはジョセフ・アイクラーが住まいを構えていた北カリフォルニアに、その多くが建築された。特にサンフランシスコのベイエリアであるポロアルトには2700戸以上が建築され、ほかのどの町もよりも多くの家が現存している。
1950年代から建築が始まったこれらの家は平屋が基本だが、中には2階建てという貴重な物件もあるそうだ。
ポロアルトほどではないが、南カリフォルニアのオレンジにも初期のアイクラーホームが数多く残されている。

▲ビーム(梁)が飛び出しているのがアイクラーホームの特徴のひとつ。グレーを基調とした外壁と、エントランスのドアに配されたブルーが美しいコントラストを描いている。
ロバート・アーウッド邸は1960年築。周囲には合計140戸ものアイクラーホームが建築されており、ここもまた“アイクラータウン”と呼べるほど、貴重な物件が軒を連ねている。
中でもロバート邸はアンシェン&アレンが設計した物件で、初期のアイクラーホームらしいデザインが内外に見られる貴重な存在だ。
敷地面積は約225坪。そこに58坪の家が建築されている。6年前に購入した際にフロアやキッチン、排水管や庭をリフォームしているが、それ以外は建築当時のオリジナルのままだ。
リビングにあるマホガニーの壁や、暖炉はもちろん、サニタリーにあるサイケデリックな壁もオリジナルだというから、驚くべき保存状況といえるだろう。

▲本来構造体のひとつでしかない梁が主役となるアイクラーホーム。室内を貫通し、プールサイドまで延びているのがよくわかる。なお、家具類はオーナーがもともと買い揃えていたもので、ミッドセンチュリーモダンを中心にしているそうだ。
アイクラーホームにはどれもベースとなったプランがあるが、ロバート邸はLA-81Rで設計されており、ほかのモデルと異なり、独立したダイニングがあるのも特徴のひとつ。
そのダイニングの横にはビルトインガレージへ通じるドアもある。外界から遮断する壁にみえたのは、20世紀中頃に設計されたガレージだった。
フランク・ロイド・ライトが多用したカーポートはアイクラーも好んで採用したが、ロバート邸のようにビルトインガレージが装備されることもまた、アイクラーホームでは珍しくなかった。
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