美しい外観が目を惹く木製トレーラーとチョコレート・ショップ

トレーラーを活用したカカオ研究所

キャンプだけに限らず、宿泊施設としても使用できる大型のトラベルトレーラーを、店舗として活用する「カカオ研究所」。電気・ガス・水道まで利用できる店内は、チョコレートショップとしての必要な装備をすべて備えるだけでなく、その美しいデザインが人を寄せつける魅力まで携えている。

トレーラーを活用したカカオ研究所

▲トレーラーのデザインはフランク・ロイド・ライト作品をイメージした直線基調だ。

九州・大分にある「タイニーハウス・ジャパン」は、まるで“ 移動可能な小屋” ともいえる、ユニークな木製トレーラーを製造する会社だ。

代表の田上さんは若い頃から木造建築を学び、大工として働きながら技術と設計を学んだという経歴の持ち主。建築物の耐震性を検証するプロジェクトにも参加し、実物大の住宅を使って行う倒壊実験にも携わってきた。

常に振動を受けながら走行するトレーラーの製造・販売には、そうした経験も生かされているそうだ。 

トレーラーを活用したカカオ研究所

▲車内は長方形の間取り。電気・水道・ガスも接続済み。片側は開口部を設けず、商品の陳列棚。

現在、同社がラインナップする製品は、いずれも地元大分産の杉材を使用して組み立てられ、細部には真鍮、革、鉄、樹脂、布などを使い、美しいデザインでまとめられているのが特徴となっている。

ここで紹介する「カカオ研究所」も、オーナーのNさん自身が、その美しい外観に惚れ込んだのがきっかけとなり、同社の木製トレーラーを利用して事業を行うことになったという。

トレーラーを活用したカカオ研究所

▲縦に3列並んだ片開きの窓は、暑い時に風通しを良くするだけではなく、デザイン上のポイントにもなっている。

“Bean to Bar”と呼ばれる自社一貫製造による高品質なチョコレートの提供を行う「カカオ研究所」は、現在チョコレートの販売拠点として、この「タイニーハウス・ジャパン」製のトレーラーを使用。普段は店舗として活用し、大きなイベントの際には店舗ごと移動して出店することで、効率的な営業を行っている。 

店舗のベースとなっているのは「Baske-T(バスケット)L」と呼ばれるモデルで、長さ6m×幅2.2mと余裕のサイズを誇る1 台だ。

内部には2.1mという室内高が確保されており、店内で窮屈な思いをすることもない。電気・水道・ガスを接続している上、冷暖房も完備。さらにチョコレート製品の加工ができる調理コーナーも用意されているなど、店舗としての要件をすべて満たしている。 

また、このトレーラーは「カカオ研究所」のように店舗やキッチンカーとして使用する以外にも、キャンピング用にも仕様変更が可能。その場合は大人4人がゆったりとした就寝スペースに、キッチンやトイレ、シャワーまで備えることができ、アウトドアでの長期滞在でも快適に利用できるそうだ。

トレーラーを活用したカカオ研究所

▲通常はドイツ・アルコ社製の車台を使用しているが、写真の例では国産製を使用。車台上の木製躯体が「タイニーハウス・ジャパン」によるハンドメイドだ。

キャンプ場や民泊施設、さらに基礎に固定すれば「住居」として使用することもできるので、いざという時は“移動できる小屋”にもなる。

トレーラーの購入を検討している人はもちろん、小屋の建築を検討している人にとっても、魅力的な選択肢のひとつといえるだろう。

トレーラーを活用したカカオ研究所

▲キッチン部分は高窓(ハイサイドライト)を設けており、風と外光を上手に取り込んでいる。内装も杉材を使った暖かみのある雰囲気だ。

トレーラーを活用したカカオ研究所

▲キッチンカー的な使い方もできるように、車体の側面には跳ね上げ式のスライド窓を装備。跳ね上げた窓が雨避けにもなるため、屋外での販売にも便利な装備だ。

CONTACT|TINY HOUSE JAPAN
WEB|https://www.tinyhousejapan.com
PHOTO|KAZUTOSHI AKIMOTO
TEXT|KAZUTOSHI AKIMOTO
PUBLISHED|2021
SOURCE|小屋 ちいさな家の豊かな暮らし Vol.4
Copyright © CLASSIX
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