電動開閉式のウッドデッキを備えたコンテナハウス
- 2023/2/9
- LIFE
- 小屋, tiny house
貨物輸送用のコンテナを改造した小屋は、どこへでも運べるという利点を生かして防災用に使用される例が増えている。20フィートのコンテナを使うと14㎡のスペースが生まれ、快適な居室としても利用できることから、宿泊施設としても注目される存在だ。そんなコンテナハウスの活用例をご紹介していこう。
羊の毛を刈り取って、好きな色に染めて羊毛を紡ぎ、出来上がった毛糸で編み物をする。そんな手紡ぎを楽しむのが、岐阜県多治見市に住まうYさんだ。
天気のいい日は1日中好きな編み物をすることもあるという趣味の拠点は、「森の生活社 山の家」が製作したコンテナハウスの「ヒュッテ(HYTTE)」。まるでログハウスのような無垢の杉板を張った室内には、いくつもの糸車が置かれ、羊毛で編んだ手作りの作品も飾られている。
普段は自宅で営む動物病院を手伝っているというYさんが、趣味の拠点となるこのコンテナハウスを建てたのは、他界したお父さんが大事にしていた小さな畑を譲り受けたのがきっかけだった。
住宅街の真ん中にポツンと残った畑は、自宅からクルマで約20分。仕事の合間に訪れては、草をむしり、土を耕し、少しばかりの野菜を育てていた。
土いじりは気分転換にもなり、畑にいる時間はとても楽しめたが、何せ自宅からは遠い上、ひと休みするスペースもないのが不便だった。そこで頼りにしたのが岐阜県御嵩町に拠点を構える「森の生活社 山の家」である。
オリジナルの薪ストーブを製造する同社は、ハンドメイドのトレーラーハウスも手がけているが、Yさんの要望を確認するともう少し小さなもので十分だということで、2018年春に約2ヶ月間の工期を経てコンテナハウスの「ヒュッテ」を建築。
20フィートのコンテナをベースにした空間は、住宅用のドアやサッシを使用し、断熱材やペアガラスも採用するなど四季を通じて快適なスペースとして仕上げた。さらに水洗式のトイレやキッチンまで装備したことで、家にいるのと変わらずに過ごせる趣味の拠点が完成したのである。
この「ヒュッテ」は、電動開閉式のウッドデッキを備えるのも大きな特徴だ。
Yさんの小屋にも装備されているウッドデッキは、コンテナを切り取った壁面パネルをそのまま有効活用したもの。
普段は2×2メートルのウッドデッキとして利用。悪天候時や長期間使用しない場合などは、デッキを巻き上げて格納することで、掃き出し窓のある開口部を丸々カバーしてしまう。防災・防犯対策としても有効なアイデア装備である。
Yさんも、暖かい季節になると窓を開け放ち、このウッドデッキの上でのんびりと日向ぼっこをしていることが多いという。
小屋にいる時間が、あまりにも気持ちがよく、今では編み物を楽しむ道具を自宅から運び込んで、趣味をとことん満喫している。
また、同じ趣味を持つ友人たちが集まって一緒に手紡ぎをしたり、バーベキューを楽しんだりすることも。 Yさんにとって小屋はもう一つの居場所。
誰にも邪魔されず、のんびりと過ごし、心と気持ちを整える大切な空間となっているそうだ。
CONTACT|森の生活社 山の家
WEB|https://yamanoie.info
PHOTO|KAZUTOSHI AKIMOTO
TEXT|KAZUTOSHI AKIMOTO
PUBLISHED|2021
SOURCE|小屋 ちいさな家の豊かな暮らし Vol.4
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