いかにもカリフォルニアらしいクラシック・ポルシェのカスタムスタイル|1970 ポルシェ 911T

いかにもカリフォルニアらしいクラシック・ポルシェのカスタムスタイル|1970 ポルシェ 911T

石造りの街並みが美しく残るサン・ファン・カピストラーノで出会ったポルシェ911T(Porsche 911T)は、見た目の派手さはないものの、ラフ&シックなオーナーが自分らしく乗りこなす“南カリフォルニアらしい”一台だった。

カリフォルニア州最古の礼拝堂をはじめ、石造りの路地や聖堂など、中世の荘厳な雰囲気漂うサン・ファン・カピストラーノ(San Juan Capistrano)。DTLA(ダウンタウン・ロサンゼルス)から南に約90kmに位置するこの街には、ビーチタウンのようなギラギラとしたエネルギーとはまた異なる、静かな魅力に溢れている。

いかにもカリフォルニアらしいクラシック・ポルシェのカスタムスタイル|1970 ポルシェ 911T

そんなこの街の様相にしっくりくるシックなメタルグレーのポルシェ911Tは、チャド・パトリックさんの愛車だ。落ち着いたボディカラーにダックテールを外してすっきりとしたエクステリア。室内には精悍なブラックのインテリアに4点式シートベルトやロールケージが、しっかりと“走り”の香りを漂わせる。

日本でも人気のストリートアパレルブランドであるステューシー(STUSSY)に務めていたというスタイリッシュなチャドさんは、このクルマを「見せびらかすためではなく、“ジーンズ&Tシャツ”のように毎日のドライブを楽しむための一台だ」と紹介してくれた。

いかにもカリフォルニアらしいクラシック・ポルシェのカスタムスタイル|1970 ポルシェ 911T

彼が駆る911Tは1970年式、通称“ナローポルシェ”だ。ただ、その心臓部はオリジナルの2.2Lから1986年型911カレラ用の3.2Lに換装済み。トランスミッションは独特な味のある915型の5速MTで、ボディは軽量化され、足回りもビルシュタインで固められている。

これらはカレラRS2.7をモチーフにレストアされたもの。エクステリアも前後バンパーはRS仕様のグラスファイバー製で、ドアパネル下の赤いグラフィックはRSのカレラロゴを彷彿させるが、購入時には装着されていたというダックテールだけは、「雰囲気ではない」という理由から前述したように取り外されている。

いかにもカリフォルニアらしいクラシック・ポルシェのカスタムスタイル|1970 ポルシェ 911T

これまでも多くのクルマを乗り継いできたチャドさんだが、この911Tは初めてのポルシェ。もちろん予算やデザインの好みもあったが、何よりも毎日、そして着飾らずに乗れるというのが彼にとって大事だったという。

「やっと念願のポルシェとの付き合いが始まったんだ。街を走る多くのポルシェを見ても僕にはピンとこない。この911はオリジナルとは呼べない、まるで“フランケンシュタイン”みたいな状態だけど、だからこそ、これから自分好みに仕上げていくんだ」と彼は語る。

世界的にヴィンテージカーが高騰する中、値ごなれ感の低いクラシック・ポルシェ。その大半はオリジナルスタイルを維持することに精力を注ぐが、ここカリフォルニアではチャドさんのように自分自身の思うままにカスタムを楽しむというスタイルもしっかりと根付いている。

PHOTO|KAZUTOSHI AKIMOTO
TEXT|KAZUTOSHI AKIMOTO
PUBLISHED|2018
SOURCE|Cal Vol.21

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