ICON(アイコン)はロサンゼルスの郊外、カリフォルニア州チャトワースに拠点を構えている。代表を務めるのは、リード・デザイナーでもあるジョナサン・ワード氏(Jonathan Ward)。元々はランドクルーザーのレストレーションを行うTLCとして創業した。このため、現在もファクトリー内ではTLCによるレストレーションとICONによるスペシャルヴィークルの生産が同時に行われている。ICON FJはそんな同社のフラッグシップともいえる1台だ。
ICON FJ はTLCによるレストレーション技術と、のちにスタートしたICONによるカスタムメイドの車両作りのノウハウを同時に実現した類稀なモデルである。
アート・モリソン(Art Morrison Enterprises)製のカスタムフレームに、ショート/ ミドル/ ロングといったホイールベース、2ドア/4ドアなど多彩なボディバリエーション。さらにGM製スモールブックL92(6.2リッター・V 型8 気筒エンジン)、またはカミンズ製2.8リッター・ディーゼルエンジンといった魅力的なパワーソースもチョイスできる。
トランスミッションはGM製4L65型4速AT。トランスファーを備えたパートタイム式の4WDを採用する。
加えてフォックス(FOX)製のショックアブソーバーやアイバッハ(Eibach)製のコイルスプリングなど、トラベル量の大きなサスペンションや、ブレンボ(Brembo)製のディスクブレーキ(オプション)など、メカニカル・コンポーネントはオリジナルの40系とはまったくの別モノとなっている。
一方で、ボディはボンネットとグリルのみオリジナルを使用するに留まる。フェンダーやドアパネルなどはすべて高強度のアルミニウムに裏側からファイバーで補強を加えて強度を増し、さらに表面にパウダーコートを施して使用している。
ブロンコ(Bronco)やスリフトマスター(Thriftmaster)との大きな違いはこのボディ外板にある。
ICONの真骨頂は、オリジナルのボディにモダンなメカニズムの組み合わせだ。残念ながらトヨタに限らず、日本車の多くは過去のヒストリックモデルのボディパーツを再販するだけの環境を持っていない。
フォードやシボレーのようにオリジナル、またはそれに準じたリプレイスパーツの入手はアメリカにおいても非常に困難なものだ。
こうした背景もあり、ICON FJの生産は今後も前途多難だ。残念ながらトヨタがリプレイスパーツを安定供給する見込みは薄い。今後、ますます貴重になることから、ICONはアメリカ製モデルをベースにしたモデルに、少しずつ軸足を移しつつある。
CONTACT|ICON
WEB|https://www.icon4x4.com
PHOTO|ICON
TEXT|KAZUTOSHI AKIMOTO
PUBLISHED|2021
SOURCE|Cal Vol.39