独立型ガレージを設けた シンプルな平屋造の家

暮らしやすい平屋造を基に、生活空間をLDK中心に集約。さらに独立させたガレージを敷地内に設けたことで趣味を楽しむスペースと、日々の暮らしを営む空間を分離したS邸。シンプルな間取りは生活・家事動線が短く効率的となり、家族それぞれが適度な距離を取りながら、快適に暮らせる家となった。

シンプルな平屋造の家

一見すると平屋造にも見えるS邸。実際には2階に居室を1室のみ設けた2層の住宅になっている。

豊かな自然に囲まれたヨーロッパの片田舎に佇んでいそうな“洋風古民家”。東京都台東区から、生まれ故郷である群馬県高崎市へとU ターン移住を果たしたSさんの住まいは、まさにそんな言葉がぴったりとハマる。

16歳で免許を取得して以来、常にオートバイが手元にある生活を過ごしてきたというSさん。現在では9台にもおよぶ趣味のバイク・コレクションを所有しており、高崎への移住をきっかけにマイホームを建築。同時に独立したガレージを敷地内に設け、趣味を満喫する暮らしを楽しんでいる。

ダイニングとリビング

ダイニングとリビングがひと繋がりの空間に配置されている。写真左は掘りこたつのある和室。

高崎市の市街地、住宅街の一画に購入した土地は約90坪。西南方向の公道に面した細長い形状を利用して、S邸の母家とガレージが完成したのは2018年12月。建築・施工は共に地元高崎に拠点を置く「ブレスハウス」が手掛け、内外観は同社の「コンフォートハウス」というデザイン住宅を基にしている。

「娘が嫁いだ後に、夫婦ふたりで暮らすのにちょうどいいサイズ。階段が少なく、生活空間が集約されている家を考えていました」と語るのは、母家の意匠や間取りなどを率先して決めてきた奥様だ。要望通り母家は平屋造を基にしており、2階は愛娘の部屋があるのみというシンプルな間取り。生活に必要なリビング・ダイニング・キッチンや水回りなどのスペースはすべて1階に配置。大きな吹き抜け造としたLDKには、カウンター式のダイニングとキッチン、さらにリビングスペースとして小上がりになった和室が備えられている。

和室

吹き抜け造となっている和室は、家族が団欒するリビングルームを兼ねたスペース。

家族の団欒スペースともなっている和室には掘りこたつや琉球畳、塗り壁仕様の壁や洋風の上げ下げ窓なども設置されている。マリンランプなど、照明にもこだわったおしゃれなスペースだ。

木造のガレージはその母屋と並ぶ様に南側へ建築。こちらはご主人の典之さんの趣味や意見を反映させたもので、1950年型のモトグッチ・ファルコーネを筆頭にしたオートバイコレクションがずらりと並ぶ。

ちなみにこのガレージもじつは2層になっており、階上にはサーフボードのコレクションが収納されている。

あえて母屋から距離をとった独立型のガレージとしたことで、生活と趣味を明確に分けたのがS邸の大きな特徴のひとつといえるだろう。3人家族ならではのシンプルな間取りと素敵なデザイン。自然素材をたっぷりと使用した家は、経年変化によりゆっくりと味わいを増していく。まさに古民家へと変化していくのを、時間をかけながら楽しめる住宅といえる。

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PHOTO|KAZUTOSHI AKIMOTO
TEXT|KAZUTOSHI AKIMOTO
PUBLISHED|2021
SOURCE|Cal HOME & INTERIOR Vol.3


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