古き良き時代を語るサーファーズハウス|Honolulu, Hawaii

1960年代のラタンのソファやマホガニー製ダイニングテーブル、1930年代のオーク・チェスト、1950年代のガスコンロ、ハワイアンモチーフの1950年代のテーブルランプ、1960年代のペーパーシェード・ランプ、さらには道端に捨てられていたマホガニーのチェスト。アンティークとアートが調和した1941年建造の平屋はノスタルジックな心地良さに満ちてい

足を踏み入れた瞬間にタイムスリップしたような感覚に包まれる。心地良く、リラックスした静かな時間がゆっくりと流れている。そんな印象を抱かせるのは、バリー・モリソンとエリザ・ジョンストンの夫妻が暮らす1941年建造の平屋の戸建。

アラモアナの北側、マノアの西側に隣接するマキキ地区に位置し、州間高速道路H-1号線の北側、プナホウストリートがマノアロードに変わる地点から延びるネホアストリート沿いの一角に佇むこの家を夫妻が購入したのは1988年。夫妻にとっては最初で唯一の自宅購入となった。490㎡の敷地に建つ家はこじんまりとしているが、ノスタルジックな室内空間はなんとも味わい深い。

リビングルームのラタンのソファは1960年代のもの。ハワイアンモチーフをあしらったテーブルランプは1950年代に作られたものだという。中央の小さなテーブルはオーク製だ。

ダイニングテーブルとチェアはマホガニー製で1960年代に作られたもの。バリーのお気に入りはダイニングルームで存在感を放つペーパーシェードのペンダントランプ。1960年代から照明デザイナーとして知られるスティーブン・ホワイトのペーパーシェードは“光の彫刻”とも呼ばれ、ダイニングに優しい光を投げかけている。

裏庭に面し、大きな窓から光が流れ込むキッチンも素敵だ。壁の絵皿や窓際の置物にはオーナーのセンスがにじみ出ている。

家全体を包むアンティーク感に彩りを添えているのは、壁にかかる絵画やモノクロ写真の数々だ。20世紀前半のハワイを代表する画家ジョン・メルヴィル・ケリー、ポリネシア人の日常の暮らしを描くアヴィ・キリアティ、“ネオ・プリミティブ”と呼ばれる手法で描くジョン・ハンブルなどなど。

ハワイ、ポリネシアといったテーマを独自に表現するアート作品をバリーもエリザも大切にしている。その感性こそがこの家の居心地の良さを醸成しているのだ。

PHOTO|KAZUTOSHI AKIMOTO
TEXT|OSAMU HONMA
PUBLISHED|2017
SOURCE|Hawaii Interior Style Book Vol.1


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