
2025年のSCORE BAJA1000(スコアー・バハ1000)は、メキシコ・バハ・カリフォルニア半島を舞台に開催され、今回で第58回を迎えた。今年は半島北部のエンセナダを起点としたシングルループ形式で実施されたが、降雨による一部ルートの短縮・変更や、伝統の「ウォッシュ」セクションの復活など、環境条件にも大きな注目が集まった。世界中から集まったエントラントがそれぞれのカテゴリーでしのぎを削り、今回もまた過酷な自然と対峙する姿が各地で観客を魅了した。
今年のBAJA1000は、ある意味で非常にバラエティに富んだイベントとなった。
数字で比較すると、4輪部門のエントリー台数は2024年が183台(うち36時間の制限時間内に完走したのは112台、完走率約61%)、2025年は168台(同94台、同55%)(※編集部注:2025年は11月16日現在の暫定結果)。
身体的により過酷な2輪部門では、2024年が101台(同65台、同64%)、2025年は67台(同37台、同55%)だ。
2025年のエントリー総数は約250台。アメリカ36州と21か国から、過酷な戦いに挑む挑戦者たちが集まった。

▲#766 Ford Brnco RaptorはStock Mid Size Classで優勝を果たした。
BAJA1000のコースレイアウトには2種類があり、「ペニンシュラ(Peninsula)」または「ポイント・トゥ・ポイント(Point-to-Point)」と呼ばれるレイアウトと、「シングルループ(Single Loop)」と呼ばれるレイアウトが変則的に採用されている。前者はスタートとゴールが異なるレイアウトで、バハ・カリフォルニア半島を縦走する。一方の後者は、スタートとゴールが同じ場所となり、半島をぐるっと回ってスタート地点に戻ってくる形式だ。
2025年は前年同様に、北部のエンセナダ(Ensenada)をスタートして半島西岸を南下、チャパラ(Chapala)の手前で折り返し、東岸を北上してエンセナダに戻るコースが採用された。このレイアウトは2024年と酷似しており、今年の設定距離も前年同様の864.13mi(約1,390.68km)だった。なお、スポーツマンクラスでは一部コースをショートカットし、合計731.61mi(約1,177.41km)で競われた。※BAJA 1000コース図

▲6年ぶりに復活した“THE WASH”。川底に土を盛って作られた特設コースだ。
2輪と4輪の混走を避けるため、レースは2輪部門が先行する形で、現地時間11月14日(金)の深夜0時にエンセナダをスタート。4輪部門は同日朝9時に、花形クラスである「トロフィートラック(Trophy Truck)」から順次スタートしていった。制限時間「36時間」以内に再びエンセナダのゴール地点に戻れば、記録上「完走」となる。
実際のコースには一部「スピードゾーン(Speed Zone)」と呼ばれる制限速度付きの一般公道が含まれるが、その大半は非常に激しいオフロードの連続だ。特に何台ものトロフィートラックが走行した後は轍が深くなり、外径37インチのオフロードタイヤを装着した4WD車両でさえも走行困難になる。
加えて、2025年は降雨によってコースコンディションがさらに悪化し、気温も低下。参戦車両の多くはフロントガラスのない構造のため、ドライバーは「晴れれば埃だらけ」、「雨が降れば水浸し」となり、体力の消耗が激しい中で正確なハンドルさばきが求められる。
このように過酷な条件のため、BAJA1000は「世界でもっとも過酷なオフロードレース」とも称されるが、意外にも地元メキシコでは“身近な存在”とはいいがたいようだ。というのも、レースの舞台となるバハ・カリフォルニア半島は、メキシコ本土とカリフォルニア湾によって隔てられており、アメリカ西海岸からのほうが地理的にもアクセスしやすい。実際、メキシコ国内では“アメリカのモータースポーツが国内で開催されている”という認識を持つ人も多いようだ。
それでも、地元バハ・カリフォルニア半島に住まう人々にとっては、年に一度の「オラが町のお祭り」として定着しており、多くの住民が沿道に立って観戦を楽しみにしている。
主催者であるSCOREから正式な観客数の発表はないものの、一説では75万人以上が沿道観戦したともいわれる。入場料不要なイベントであることから、バーベキューをしながら応援するファンの姿も珍しくない。
今回、イベントを盛り上げた仕掛けのひとつが、6年ぶりに復活した「エンセナダ・ウォッシュ(Ensenada Wash)」だ。
これは水のほとんど流れていない川底を利用したセクションで、両岸や橋の上から観戦できる特設コース。全長約1.77mi(約2.85km)のこの区間にはジャンプ台も設けられ、トロフィートラックが空中を舞うたびに、観客が歓声を上げた。

▲#8188 TEAM JAOSの誇るLEXUS GX550h “OVERTRAIL”。Stock Full クラスで2位完走を果たした。
また、2025年大会では日本勢にも注目が集まった。TEAM JAOSは4年連続の参戦となり、今回は車両を「LEXUS GX550h “OVERTRAIL” TEAM JAOS 2025ver.」に変更。ハイブリッドモデルとしては極めて珍しい挑戦だったが、見事に完走を果たし、GX550の耐久性と走破性能の高さを証明した(※編集部追記:ハイブリッド車による完走は大会史上初の快挙)。
さらに、通常は複数ドライバーで交代しながら走行するBAJA1000だが、TEAM JAOSでは今回も能戸知徳選手が単独で完走。これにより2大会連続で“アイアンマン(Ironman)”の称号を獲得している。
同じく日本からは塙郁夫選手も参戦。TOYOTA FORTUNER(トヨタ・フォーチュナー)で挑んだが、惜しくも制限時間内にゴールできず、「DNF(Did Not Finish)」となった。
HONDAは、V6エンジンを搭載したパスポート(Passport)とATV(全地形対応車両)の2台体制で参戦。今回はHRC(Honda Racing Corporation)によるワークス体制での挑戦だったが、いずれも完走には至らなかった。
反面、圧倒的な強さを見せたのはやはりアメリカ勢。中でも大会スポンサーでもあるFord(フォード)は市販車クラスに4台の「ラプター」シリーズを投入。F-150 Raptor(Stock Full Size)とBronco Raptor(Stock Mid-Size)がそれぞれのクラスで優勝を果たした。
最終結果として、4輪部門では Christopher Polvoorde(クリストファー・ポルヴォード) 選手が 15時間48分05秒532 で総合1位(SCORE Trophy Truck部門でも1位)を獲得。
2輪部門では Tyler Lynn(タイラー・リン) 選手が 17時間55分30秒008 を記録し、Pro Moto Unlimited部門の1位に輝いた。
ちなみに、BAJA1000発祥のきっかけとなった「2輪と4輪ではどちらが速いのか?」という論争は、今年も4輪が勝利を収める形となっている。

▲日本からは塙郁夫選手も参戦。TOYOTA FORTUNER(トヨタ・フォーチュナー)で挑んだが、惜しくも制限時間内にゴールできなかった。

▲空冷フラット4を搭載するVolks Wagen Type1も未だ現役。その軽量な車体から、決して侮れない戦闘力を秘めている。

▲往年の “BIG OLY”を彷彿とさせるBroncoはClass 3に参戦。残念ながらDNFとなった。
ABOUT TEAM JAOS|チームジャオスとは
SUVパーツのリーディングカンパニーとして知られる「JAOS(ジャオス)」のレーシングチーム。2015年に創立30周年プロジェクトとして、アジアクロスカントリーラリーへの参戦を開始。2016年より同社開発部兼ドライバーの能戸知徳選手がハイラックスを駆って参戦し、2019年には念願のクラス優勝を果たした。
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