本物以上を目指した“アメリカの家”

熱い大工「サニースポット」の作る家

カバードポーチや上下分割式のスプリットドアなど、ディテールはどれも海外にあるような洒落た意匠の住宅だ。それでいて室内は日本の風土・気候に合わせた快適性を重視。見た目は本物、さらに性能は本物以上という、アメリカの家をイメージした平屋の一軒家を訪ねた。

熱い大工「サニースポット」の作る家

▲大きな平屋の一軒家は、地元では“熱い大工” として知られる「サニースポット」に依頼して建築されたもの。

家づくりは難しい。自動車や家電品など、工場で生産される画一的な工業製品と違い、デザイン・設計からサイズ、品質や工法まで、すべての住宅は一軒一軒スペックが異なるからだ。

例え規格住宅と呼ばれる様なプレハブ工法であっても、敷地面積や間取り、内装の仕上げなど施主が選択すべき項目は多岐に亘る。このため仮に「どんな家を作りたいか」という具体的なイメージが頭の中にあったとしても、複雑なピースを組み合わせるような作業をこなして想像通りの家を作り上げる必要がある。ゆえに、いい家を作りたければ、家づくりを一緒にサポートしてくれるようないい建築家と出会うのが最良の選択肢となる。

福岡県嘉麻市に住まいを構えるAさんも、漠然といい家に住みたいと考えていた。「大きなリビングのある家にしたいな、とは思っていましたが、家そのもののイメージはまったくなくて……」と、マイホームの購入を検討していた当時を振り返る。

子供の成長に合わせて、家族がのんびりと暮らせる家が欲しい、そんなことを漠然と考えていた頃、ひとりの大工と出会った。それが“熱い大工”として知られる「サニースポット」の城(じょう)さんだ。

まるでカリフォルニアやハワイでみるような、アメリカンスタイルの住宅を得意とする城さん。家づくりに対する人並み外れた熱い思いから、施主が想像もできなかったような提案を次から次へと繰り出し、個性的かつ住みやすい家づくりを実現する建築家だ。

熱い大工「サニースポット」の作る家

▲家事動線もよく工夫されている。玄関から直接クローゼットにもアクセス可能。無駄な動きの少ない回廊動線になっている。

A邸の住宅建築はこの城さんと共に2017 年春にスタート。工期だけでも5ヶ月、構想期間まで含めると1年3ヶ月かけて完成したというその住まいは、200 坪という大きな敷地の中でも十分に存在感のある大きな平屋の一軒家となった。

住宅のテーマは“GREEDY”= わがまま・欲張り。施主の要望を取り込みながら、“広いリビング”や“短い家事導線”も意識して、まるでアメリカに建つ様な大きな一軒家を作り上げた。

熱い大工「サニースポット」の作る家

▲ソファやカウチは現行品だが、ヴィンテージの家具とも相性がいいものをチョイスする。

内外装もアメリカらしさを意識しながらも、快適で長く住まうことができる工夫を各所に施している。床材は深みのある色合いのアカシア。内外のドアはすべてアメリカからの輸入品。ダイニングテーブルは厳選された一枚板の天板にご主人が製作した鉄脚を組み合わせる。テレビボードやチェアなどはヴィンテージだ。これらは経年変化により、長く使い込むことでより味わいを増すことを想定して選んでいる。

一方で外壁材やサッシ、断熱材などはすべて日本製を使用する。断熱・遮音性能は日本の風土・気候に合わせた性能が要求される部分であり、単に“見た目”だけで選んではいけないというのが、城さんの考え方。「見た目は大切、でも性能はもっと大切」という城さんは、「家を引き渡した後に実際に住まう家族の生活をなによりも快適にしたい」とも語る。まさに“熱い大工”としてもっともこだわる部分だ。

「完成してからが、本当の家づくり」とも語るその城さんと、「想像以上の家を手にすることができました」と喜ぶ施主のAさんご一家。施主と建築家の情熱が形になったA邸は、素敵な家族の生活をしっかりと支える、家族にとって大切な“城”になった。

サニースポット

▲ダイニングは「サニースポット」城さんがこだわった天然木の無垢一枚板に施主が製作した鉄脚を組み合わせている。

CONTACT|SUNNY SPOT
WEB|https://sunnyspot-home.jp
PHOTO|KAZUTOSHI AKIMOTO
TEXT|KAZUTOSHI AKIMOTO
PUBLISHED|2020
SOURCE|Cal Vol.32

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