古典的なスタイルのフラダンスとして知られるフラ・カヒコの世界を30年以上にわたって撮り続けるキム・テイラー・リースは、ハワイを代表するファインアート・フォトグラファーだ。
オアフ島北東部のハウウラ地区。海岸沿いを走るカメハメハ・ハイウェイに彼のギャラリー兼住居がある。27年前に古い家を買い取り、コンラッド・シュミットの設計で全面改修されたもの。前面はハウウラの美しい海に面し、裏手には美しい稜線のコオラウ山脈を背景にした雄大な景観が広がるというロケーションは、「このエリアでずっと探し求めていた理想的なものだった」という。
ギャラリースペースとなるフロント部を全面ガラス張りにした開放的なアイランドスタイルのインテリア。巨大なビューウインドウはハワイの自然を映し出すピクチャーフレームにもなっている。それを象徴するのは1階と2階のギャラリースペースであり、それに隣接する形で設けられている2階のキッチンだ。調理をしたり、洗い物をしながら、視界には常にコバルトブルーの海が飛び込んでくる。パスタをよく作るというこのキッチンに立っている間も家族や友人との会話を楽しむことができる。
そのキッチン裏手にはプライベートなリビングルームがあり、そこからラナイに出れば、海側にはないハワイのもうひとつの顔に出会うことができる。1階の裏手には写真の処理などを行う作業場があり、その奥には採光を抑えめにしたベッドルーム。妻カノエの希望で、この家で唯一のカラフルなインテリア。壁には多彩なアーティストたちの作品が飾られている。
色盲であるキムの作品はすべてモノクローム。ギャラリーのインテリアもその特性を活かすためにモノトーンが基調。高い吹き抜けの天井を持つ開放的なギャラリー空間に立つと、時間の存在を忘れてしまうような感覚に包まれる。
PHOTO|KAZUTOSHI AKIMOTO
TEXT|OSAMU HONMA
PUBLISHED|2017
SOURCE|Hawaii Interior Style Book Vol.1