【EICHLER SYTYLE HOUSE】20世紀アメリカの偉大なる遺産—日本国内で手に入るアイクラースタイルの家—

▲住宅の正面側のことをファサードと呼ぶ。アイクラーホームでは、窓もなく、そっけないほどシンプルな壁面に、挿し色のごとくカラフルに塗り分けられたドアが1つだけ設置されていることが多い。「あいホーム。」の例でも鮮やかなイエローのドアが取り付けられている。

▲カリフォルニアだけでなく、アメリカ全土でビルトインガレージは見られるが、日本のようにメモラビリアなどで飾った例は少ない。「あいホーム。」ではガレージを多目的なスペースとして設けている。モデルハウスではもうひとつのアウトドアリビングのような位置付けでディスプレイされていた。

▲ミッドセンチュリー家具と相性のいいアイクラーホーム。「あいホーム。」のモデルハウスがまるで本物のアイクラーホームのように見えるのは、じつは高価なヴィンテージ家具を使っているのもポイントだ。写真はアメリカ・ノースカロライナ州を拠点にしたブライヒル製のブラジリアサイドボード。

▲日本では馴染みの少ないアトリウム(中庭)も再現されている。アイクラーホームには欠かせない家の中心にあたるスペースで、通常はファサード(家の正面側)に設けられたドアを開けると、このアトリウムへ繋がっている。アトリウムを通過した先にリビングルームがあり、そこから先が室内だ(アイクラーホームに日本風の玄関スペースはないため)。

▲アイクラーの象徴的なディテルである一本に繋がった梁。半世紀以上経った現在、メンテナンスを加えながら住むオーナーたちを悩ましているのは腐った梁の修復だ。「あいホーム。」では、こうした後々のメンテナンスや耐震性の観点から、途中で梁を継いで一本に見せている。

▲左:にテレビボードの上にある梁は、空間を隔てるために必要になったものだ。その下にあるキャビネットはケントコフィー(Kent Coffey)製のヴィンテージ・サイドボードである。右:LDKを中心にしながら、アトリウムを囲むように部屋が並んでいるのがアイクラーホームの標準的な間取りだ。「あいホーム。」の例ではリビングの先にちょっとした個室を追加し、プライベートルームとしている。写真のチェストはミッドセンチュリー家具の代表的なモデルとして知られる、ブロイヒル(Broyhill)製ブラジリアシリーズのマグナチェストだ。

▲住宅に対する考え方の違いから、そのまま日本に持ち込むのが難しいのがエントランス。アイクラーホームが残るカリフォルニアでは、日本の“玄関”というしっかりとした空間がない。加えて、通常は靴を履いたまま屋内に入ることも多い。「あいホーム。」のモデルハウスではアトリウムの先にLDKとひと繋がりになったオープンスタイルの玄関を設けている。

▲アイクラーホームでは、水回りにはあまり手を入れていないことが多いが、「あいホーム。」ではリビングと同様に小さなアトリウムを設け、トイレから眺められるようにしてある。洗面台(写真左)はイギリスのミッドセンチュリー家具ブランドであるサトクリフ・オブ・トッドモーデン(Sutcliffe of todmorden)製のヴィンテージ・サイドボードをベースに人工大理石の天板を加えて製作されたオリジナル品。
CONTACT|あいホーム。
WEB|https://ishitsuka1.jp
PHOTO|KAZUTOSHI AKIMOTO
TEXT|KAZUTOSHI AKIMOTO
PUBLISHED|2024
SOURCE|Cal Vol.61
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