利用者の心を少しだけ豊かにしてくれる、障がい者施設で活用される多目的な小屋
- 2023/2/12
- LIFE
- 小屋, tiny house, CountryTown&Co.
素敵な小屋はいつでも訪れた人を優しく迎え入れ、豊かな時間を与えてくれる。障がい者・障害児を受け入れている社会福祉法人が施設の敷地内に建築した小屋は、バリアフリーであることはもちろん、天然木や漆喰などの自然素材に囲まれ、室内からはトップライトを通して空も見上げられる。障害がある人にとっても、ない人にとってもここはまさにちょっとだけ心を豊かにしてくれる場所なのだ。
10坪に満たない小屋が、人生をより一層豊かにしてくれる。生活の拠点とは別に建築される小屋には、必要とされる明確な理由があり、それぞれのライフスタイルを少しだけ豊かなものへと変えてくれる。
群馬県前橋市の社会福祉法人「はーとわーく」が建築した小屋は、障がい者の一時利用や、スタッフの研修、宿直時の休憩所など多目的に利用できる施設として計画されたものだ。
施設は常時50~60名の障がい者・障害児が利用しており、小屋は利用者だけでなく在宅で介護を受けている人にも開放されている。
集団での行動がストレスとなる知的障がい者がリラックスできる空間で食事を楽しむこともあれば、在宅で介護を受けている方がヘルパーと共に一時利用することもあるそうだ。
施工は群馬県伊勢崎市を拠点とする「カントリータウンアンドカンパニー」が請け負って、同社製の「ナチュラルデザインハウス」をベースに、床面積6.5坪というコンパクトなサイズにまとめている。
室内はクルマ椅子でも利用できるようにバリアフリー設計とし、8.6 帖ほどのリビングを中心に、トイレやキッチンまで備えている。
施主である社会福祉法人によれば、「一番こだわったのは室内から天窓を通して空が見えること」。障がい者のおむつを交換する際に、横になったベッドの上から空が見えたら気持ちいいのでは? という思いから、大きなトップライトを設けたそうだ。
建築中はそのユニークなデザインから地域の人々にも注目されたそうだが、じつはこうした個性あふれる設備には公的な助成金が一切使用できず、小屋は自己資金と寄付によって建築されたという。
バリアフリーという言葉が社会に浸透し、法整備されたこともあって、一般的には障がい者も自由にどこへでも訪れることができるかのように思われているが、まだまだ障がい者が遊びに行ける場所や機会は限られるという。
だからこそ、小屋の建築にあたっては少しでもおしゃれでかわいらしく、利用者が思わず楽しくなるようなデザインにしたかったそうだ。
小屋は“人と人を結びつける”という意味から「りんく」と名付けられ、2020年末に完成。稼働をはじめると、すぐに一度利用した方が「また行きたい!」と何度もリピートするようになってという。
在宅介護が必要な障がい者を含め、利用は無料。漆喰と天然木に囲まれたかわいい空間は、訪れた人をちょっとだけ豊かな気持ちにさせてくれる。
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PHOTO|KAZUTOSHI AKIMOTO
TEXT|KAZUTOSHI AKIMOTO
PUBLISHED|2021
SOURCE|小屋 ちいさな家の豊かな暮らし Vol.4
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