SUVとピックアップトラックの境界線を曖昧にする 快適にカスタマイズされたハイラックス“JAOSスタイル”

JAOS|HILUX|ハイラックス

現代のピックアップトラックはどれもSUVと遜色のない装備や性能を備えている。荷台があること以外に、少なくとも両者の違いはほとんどないといってもいいだろう。もっとも、その荷台があることで、ピックアップトラックは空荷の状態ではどうしても乗り心地が固く、特にリア側はバタつくことが多かった。いかにソフィスケイトされたとはいえ、出自は隠せない。ピックアップトラックとSUVは、やはり異なるカテゴリーのクルマなのだ。ところがその境界線を曖昧にしてしまう、JAOS製のサスペンションパーツがある。

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SUVとはSport Utility Vehicle( スポーツ・ユーティリティー・ビークル)の頭文字を並べたものであり、少なくともピックアップトラックはこのSUVカテゴリーには属さない。近年はより快適で乗用車的な味付けを施したSUVベースのトラックもあるが、こうしたモデルはSUT(Sport Utility Truck=スポーツユーティリティトラック)として区分され、純粋にトラックとして開発されたピックアップトラックとは異なるものだ。

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▲純正では前下がり姿勢となるハイラックスGRスポーツだが、JAOS製サスペンションを取り付けたことでフロント側をわずかにリフトアップし、横から見た時の前後のバランスを補正している。ショックアブソーバーは前後共にJAOS製の減衰力調整式。

2015年に登場した8世代目のトヨタ・ハイラックスは、快適な装備を奢った現代的なピックアップトラックの一台である。ドライビングポジションから見た景観は他のSUVとの大きな違いは見当たらないし、ミリ波レーダーと単眼カメラを備えたレーダークルーズコントロールや、クリアランスソナー、プリクラッシュセーフティなど、最新のSUVに搭載されている装備類は大抵揃っている。加えてSUVでは運搬が難しい大型のギア類も軽々と持ち運べる荷台があるのだから、人気になるのも頷ける。

それでも、唯一空荷の状態で走った時だけは、このクルマがピックップトラックであることを再認識させられるものだった。

乗用車的な味付けや装備を備えているとはいえ、最大500kgの積載重量を誇る荷台が備わり、同時にそれだけの重量物を積載することを前提とした設計のリアサスペンション(リーフスプリング+リーフリジット)が組み合わされていることに変わりはないからだ。

ゆえに空荷の状態で走ると、ハイラックスはどうしてもリア側が跳ねる傾向にあった。

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▲SUVなら持ち運びに苦労するようなファットバイクも、荷台を備えたハイラックスなら軽々と持ち運べる。使用後の汚れたキャンプ用品や水に濡れたギア類なども気兼ねなく積み込めるなど、アクティブな使い方ができるのが、ハイラックスの強みだ。

JAOSが製作したハイラックスは、こうしたピックアップトラックならではの乗り味を改善し、より一層乗用車的な味付けへと変えている。しかも大幅に手を加えたということもなく、じつはリア側は減衰力調整式ダンパーに交換しただけ。

むしろ大きく手を加えたのはフロント側で、それでも車高調用のリフトアップスプリングに、リア側と同じ機能を持たせた減衰力調整式ダンパーを組み合わせた、という程度である。

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▲ホイールはJAOS TRIBE CROSS(17×8.0J±0 / 6H / 139.7)を装着。ボディ左サイドにはチタニウムゴールド、右サイドにはマットガンメタリック(写真)を組み合わせている。タイヤはTOYO TIRES OPEN
COUNTRY A/T III(265/70R17)。


フロント側のみ20mm~50mmのリフトアップとすることで、オリジナルの前下がり姿勢も解消され、横から見た時の姿勢も上手に補正されている。同時に前後の重量バランスも変わり、リア側の荷重が増したことから、乗り味もよりマイルドに仕上がっている。

日常使用において、荷台に常時荷物が積載されているような使い方は想定しにくい。空荷の状態での乗り味をより快適なものとすることで、JAOSの製作したハイラックスはSUVとピックアップトラックの境界線を一層曖昧にし、ハイラックスを“荷台を備えたSUV”へと進化させたといってもいいだろう。

余談ではあるが、昨年バハ1000への初参戦を果たした「TEAM JAOS」が、2023年もまた挑戦を続けると発表をした。参戦車両とドライバーは昨年同様。普段はJAOSでパーツの開発に携わる能戸知徳選手が、LX600のステアリングを握って1000マイル先のゴールを目指す。過酷な環境で酷使される競技用車両は、もちろんJAOSの市販品だけで作られているわけではないが、少なくともこうしたレース活動が同社の製品開発に大きな貢献をしていることは間違い無いだろう。

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ABOUT DIRECT JAOS| ジャオスとは
群馬県榛東村に拠点を置く、SUVパーツのリーディングカンパニー。1985年に東京で創業し、空前の4WDブームとともに数多くのヒット商品を創出した。

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PHOTO|KAZUTOSHI AKIMOTO
TEXT|KAZUTOSHI AKIMOTO
STYLING|KAZUNARI HAYAKAWA 早川一成
MODEL|YUICHIRO
PUBLISHED|2023
SOURCE|Cal Vol.52

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