バイク用ガレージを活用して手に入れた“夢の菓子工房”

バイク用ガレージを転用した店舗

群馬県藤岡市の住宅街にある「 お菓子とパンのnatsu工房」は、オーナーのKさんが長年夢を描いてきた“自分のお店”だ。その可愛らしい外観からは想像できないが、じつはこのお店はバイク用ガレージや物置として使われることの多いキットハウスをベースにしている。そもそも小屋の使い道は人ぞれぞれだが、まさかこんな使い方があったとは。小屋の持つ可能性をあらためて考えさせられる、素敵なアレンジ方法といえるだろう。

バイク用ガレージを転用した店舗

▲間口が狭く、奥行きのある小屋は、お菓子工房にもぴったり。ドアを開けるとショーウインドウの中に焼きたてのパンやお菓子がディスプレイされている。

「軒出し45 センチでドア位置が妻側というのは、バイクガレージとして理想的なカタチ。ガレージにも物置にもちょうど良いサイズです」とは、小屋の販売を行うグリーンベルによる、同社製ワークスガレージの紹介文だ。

最小基本キットは2440×2440mmの正方形。バイク2 台を収納して、前後に整備スペースを設けるならば、奥行きを延長して長方形にするとちょうどいいそうだ。ところが、このバイクガレージがお菓子工房にもぴったりだったとは、メーカーであるグリーンベルも初めて知ったという。

バイク用ガレージを転用した店舗

▲電気・ガス・水道に換気扇、給気口を備えた室内。内壁や天井も本来は木材の肌触りを生かした仕上げにしたかったそうだが、保健所の指導により凸凹のない、清掃のしやすい壁に修正したそうだ。

小屋のオーナーは群馬県藤岡市に住まいを構えるKさん。幼い頃からお菓子作りが大好きで、“ いつかは自分のお店を持ちたい”と長年夢を描いてきた。学校でお菓子作りの基礎を学び、洋菓子店に勤務しながら実務経験を積み、パティシエへの道を着実に歩んできたが、出産により一時的に子育てに集中。子供が成長してきたのを見計らい、やっと自身の夢に手をかけた。

じつは2018 年に新築したという自宅には、すでに小屋を置く場所を想定してスペースを空けてあった。お菓子作りは自分ひとりで出来る程度で始めたい。だからこそ店舗も「小屋を活用するのがちょうどいい」と漠然とイメージして、敷地内に小屋を建築できる余地を残しておいたのだ。

バイク用ガレージを転用した店舗

▲角窓は断熱仕様のペアガラス。2つとも標準キットには含まれないオプション品。

自宅のキッチンとほぼ同じサイズが決め手

実際に小屋を探し始めると、理想的なサイズのものがなかなかみつからなかったそうだが、たまたまサイズを測ったらグリーンベル製「ワークスガレージ」がジャストフィット! 内部に厨房機器を一列に並べ、その反対側に2層式のシンクや調理台を置くニの字型の配置とすると、振り向けば手の届く範囲に冷蔵庫やオーブンがあるという、自宅のキッチンとほぼ同じ使い勝手になったという。それはまるで、使い慣れたキッチンをもうひとつ、屋外に設けるという感覚だったそうだ。

こうしてやっとの思いで小屋が完成したのは昨年末。保健所の営業許可も無事取得して自分のお店をオープンさせた。「安全でリーズナブルなお菓子。他人への贈答品じゃなく、自分へのご褒美になるようなものを提供していきたい」と抱負を語るKさん。手作りのお菓子やパンは、すべて予約制。小屋の中で一つひとつ丁寧に焼き上げる。

それにしても、ほのかに甘い香りが漂うお店が、じつはバイク用ガレージをアレンジしたものだとは、きっと誰も気が付かないだろう。

バイク用ガレージを転用した店舗

▲ところどころに残るガレージらしいディテール。窓入りのドアはキットのオプション。

CONTACT|Green bell
WEB|https://www.green-bell.co.jp
PHOTO|KAZUTOSHI AKIMOTO
TEXT|KAZUTOSHI AKIMOTO
PUBLISHED|2021
SOURCE|小屋 ちいさな家の豊かな暮らし Vol.4
Copyright © CLASSIX
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