看板“戦争”にまで発展した ハイウェイ沿いの顧客争奪合戦

eat sign

高速道路であるインターステートハイウェイは、インターチェンジの直前になると大型の看板がずらりと並んでいる。ガソリンスタンドだったり、ファストフードだったり、ホテルやモーテルだったり……。ドライバーへの訴求には、今も昔も道路脇の看板が有用だからだ。

ローカルハイウェイの場合はインターチェンジがあるわけではないため、店があれば無秩序に看板が現れる。とりわけ、目を引かれるのが長い時間を経て色褪せた往年の「ヒストリックサイン」だ。

保存活動が盛んなルート66沿いには特に状態のいい往年の看板が多いが、ローカルハイウェイを走っていれば、どこでもこうした看板に出会うことができる。

ロードサイドに立てられた看板は、モータリゼーションが花開いた1930年代以降、顕著に変化していったという。

ハイウェイ沿いの町では地域のモーテル同士が顧客を奪い合うために、より目立つ看板が必要だったからだ。そのために看板は少しでも大きく、高くする方が効果的だった。

アリゾナ州フラッグスタッフの「ダウンタウナーモーテル(Downtowner Motel)」は、1ブロック隣の「モーテル・デュボー(Motel Du Beau)」との看板“戦争” の結果、互いに60フィート(約18m)の櫓を組んで看板を掲げたという。この看板は今もなお、フラッグスタッフの歴史的文化遺産のひとつとして大切に保全されている。

1枚目の写真は1990年代後半にカリフォルニア州パーソンビルの国道395号で撮影したもの。「EAT」の文字を掲げた看板だけが残り、すでに店は解体されていた。

▲アリゾナ州フラッグスタッフのダウンタウンにあった「ダウンタウナーモーテル(Downtowner Mote l)」の看板。ルート66を走る顧客を争奪するために1930年頃から近隣のモーテルがより目立つ看板を立てて顧客を奪い合った結果、高さ18mの看板が出来上がった。

PHOTO|KAZUTOSHI AKIMOTO
TEXT|KAZUTOSHI AKIMOTO
PUBLISHED|2022
SOURCE|Cal Vol.50


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