Good old america|寂れたハイウェイに残る、20世紀の遺産

ROUTE66|ルート66

ローカルハイウェイは大人のテーマパークだ。ルートそのものは、どこまでも何もない、ひたすらまっすぐな道であることが多いが、沿線にある町には20世紀の文化遺産が数多く残されている。

保存活動の盛んなルート66(ROUTE66)を除けば、そこで出会えるものは役目を終えた廃墟であることが多い。もちろん、私有地であることは明確であるから無闇に立ち入ることはおすすめできないが、朽ち果てた姿のまま道端に残されたかつてのガソリンスタンドやダイナーは、旅人の目にはフォトジェニックな存在に映ってしまうから不思議だ。

地方の街には必ずある給水塔もユニークな存在といえる。これらは上水道用のタンクあり、街で暮らす人々の飲用水を貯めておく重要な施設として、町ごとに姿形を変えて設置されている。

大きく、そして高い位置に設置されたタンクには町の名前が掲げられており、ローカルハイウェイからもよく目立つ。このため、町を示すランドマークとしての役割も兼ねている。

道端で出会える代表的な文化遺産はガソリンスタンドだ。もっとも廃業したスタンドは危険なため、大抵はすぐに壊されたり、有刺鉄線で覆われてしまったりする。一番上の写真は1990年代後半に撮影したカリフォルニア州ラッドローにあったガソリンスタンドの廃墟。撮影の後年にポンプは解体され、施設そのものもフェンスで覆われてしまった。

スクピオ
スクピオ▲一見すると廃墟に見える建物が、じつは未だ現役で使用されていることも珍しくない。ゆえに道端に残された建物に無闇に近づくのは避けるべきだ。写真は旧ルート50沿いにあるユタ州シピオで2001年に撮影したもの。廃墟のガソリンスタンドかと勘違いして撮影していると、家主がやってきてガソリンを入れはじめた。寛容なオーナーは「好きに撮影していきな」と言い放って去っていった。当時新車であったマスタングを借りて西部アメリカを旅した時のものだ。

ルート66
▲ルート66に残されたガソリンスタンドを個人が譲り受けて個人ミュージアムに改装したもの。撮影は2022年11月に行った。この後、アリゾナを走るルート66は猛吹雪となり、慌ててモーテルへと引き返した。

PHOTO|KAZUTOSHI AKIMOTO
TEXT|KAZUTOSHI AKIMOTO
PUBLISHED|2023
SOURCE|Cal Vol.50


関連記事

AD

ページ上部へ戻る