ダイヤモンドヘッドの南西麓、ワイキキの観光客とは無縁の豊かな緑に包まれた閑静な高台に建ち並ぶ豪邸のひとつ。以前はアメリカのブラックミュージック界を代表するカニエ・ウエストが住んでいたという邸宅は、プールやジャグジーを備えるエクステリアがバリ島などの高級リゾートを思わせる。ノースショアのビーチハウスも所有するミッシェル&トーマス・ソレンセン夫妻の自宅だ。
2008年に建てられたこの家は、ハワイで数々のリゾートハウスを手がける建築家ジェームス・マックピークの設計。2009年末にこの家を購入し、リゾートテイストを織り交ぜながらも、デンマーク出身のトーマスらしいヨーロッパ調の重厚な内装に仕上げた。
ハワイの家の大半は日本の玄関に相当するスペースが存在しない。ドアを開けるとそのままリビングやキッチンといった空間になっているが、この家の玄関は中央部の階段下。玄関の左手にリビングルーム、右手にキッチンとダイニングスペースが広がる。システムキッチンにはミーレ製の調理機器が、ジェン・エアの大型フレンチドア冷蔵庫とともに組み込まれている。
ダイニングスペースの奥には2階へ続く階段があり、その先にリビングスペース、シャワールーム、ムームー作りも手がけるミッシェル夫人の仕事部屋が配置されている。キッチンの裏手はエクササイズマシンを備えたワークアウトルームとサウナだ。2階は夫妻の主寝室とウォークインクロゼットにバスルーム、さらにゲストルームなどで構成されている。エクステリアにはティーテーブル、プールとサンベッド、ジャグジーを備えるなど贅を尽くした作りだ。
さらに自宅に隣接して同じテイストで仕上げた別邸がある。活動資金を集めるためのチャリティイベントなどを目的に2012年に建てられたもので、イベントやパーティーを開くための広いオープンスペースを備えている。1階のガレージにはポルシェ356やジャガーなどのヴィンテージカー数台が収められている。
最近、この別邸の向かいに建つ平屋をソレンセン夫妻が購入した。豪邸にはない味わいが感じられる古い木造建物だが、歴史的建造物に登録される可能性もあるという希少な家だ。
PHOTO|KAZUTOSHI AKIMOTO
TEXT|OSAMU HONMA
PUBLISHED|2017
SOURCE|Hawaii Interior Style Book Vol.1