子どもたちの遊び場として建築された 手作りの展望小屋と烏骨鶏小屋

小屋|TINY HOUSE

小屋を建築する目的は千差万別だが、「子どもたちの遊び場に」という理由で建てられるケースは決して多くない。クレイジーガーデンさんが建築した手作りの小屋は、どれも愛すべき子どもたちの遊び場として製作されたもの。敷地の外を一望できる「展望小屋」や動物飼育を学ぶための「烏骨鶏小屋」など、子どもたちにとって忘れ得ぬ思い出となるように建築されたものだ。

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▲子どもたちと一緒に飼育する予定の烏骨鶏のために建築した「烏骨鶏小屋」。

千葉県北部にある住宅街の一角に、「クレイジーガーデン」と名付けられた場所がある。家主が製作した手作りの小屋を中心に、高低差のある小山や温室などが外周に沿ってきれいに並んだ場所だ。

もともとは子どもたちの遊び場として製作を始めたもので、「クレイジーガーデン」という言葉の語感とはかけ離れた、父親の愛情がたっぷりと注がれた手作りの庭でもある。

自宅は2011年12月に竣工。その後、公道面に合わせて盛り土を行い、200坪を超える庭の整備を始めたという。

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▲コンクリートを打設した上に枕木を重ねて躯体を組み立て、所々に廃材を張って完成させた烏骨鶏小屋。肝心の烏骨鶏は未入居。

造成時に庭へ小山をこしらえ、木製の外構をDIYで建築。その後、義母から大型遊具のDIYキットをプレゼントされたことがきっかけとなり、本格的に小屋の建築を手がけるようになった。

小山から上り下りできる2階建ての「展望小屋」と「烏骨鶏小屋」のふたつを相次いで完成させたのは、それかま間もなくのことだった。

材料は古くなってきた自宅のウッドデッキを解体した廃材を流用。さらに鉄道用の大型枕木を購入して躯体の柱として使用している。

庭の角にあり、2階に上がると敷地の外に広がる里山も一望できる「展望小屋」は、目の前にある小山と橋で繋いだ。これは「庭の中に橋があったら、子どもたちが喜ぶんじゃないかと思って」というオーナーのアイデアによるものだ。

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▲自宅側から庭を望む景観。中央に盛り土された小山があり、山の上から「展望小屋」の2階部分へとアクセスできる。

コロナ禍だったということもあり、自宅にいる時間が増えたことから、小屋作りは加速。翌年には「そろそろ自分のために」という思いから、観葉植物を育てるための「温室」も作った。

ホームセンターで購入した2×4材で製作したというその「温室」は、出来上がると「なんだかイメージが違うな」と思い始め、枕木で作ったファサードを追加。合わせて材料として使った2×4材を古材に見えるようにペイントして仕上げて、満足のいく仕上がりになったという。

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▲最新作となる「温室」。2×4材を使って躯体を組み上げ、アクリルボードを張って完成させた。

今後は庭にドラム缶風呂とサウナを建築予定。子どもたちが成長するにつれて、庭は自分自身のリラックススペースへと変貌を遂げる予定だ。

「どれも手作りだから、微妙に曲がっていたり、反っていたりして。雑誌でみるようなきれいな小屋とは正反対ですが、それがまた僕らしいのかも」と、オーナーは笑顔で語る。

自分たちのために遊び場を作っている父親の背中を、きっと子どもたちは一生忘れることがないだろう。ちょっとズレていたり、傾いていたりするのが、余計に思い出深くしてくれるはずだ。

小屋|TINY HOUSE

▲所々に取り付けた鉄パイプはあくまでも装飾用。

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▲手作りの小屋を作成するきっかけとなった、木製の大型遊具キット。

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▲敷地の南側に公道が走っており、「烏骨鶏小屋」と「展望小屋」の背面が自宅の敷地と公道を隔てる外壁の代わりにもなっている。

TINY HOUSE DATA
建物名 CRAZY GARDEN(烏骨鶏小屋+展望小屋+温室)
製作 セルフビルド
外寸 W6500×D2110×H3605mm
内寸 W2100×D2880×H2400mm
基礎 枕木
断熱材 なし
建築費用 非公開
Instagram(OWNER) https://www.instagram.com/kureizigaden/

PHOTO|KAZUTOSHI AKIMOTO
TEXT|KAZUTOSHI AKIMOTO
PUBLISHED|2022
SOURCE|小屋 ちいさな家の豊かな暮らし Vol.06
Copyright © CLASSIX
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