黄金期のアメリカで生まれたミッドセンチュリー・デザインのトラベルトレーラー|1960 Holiday House

アメリカのキャンピングシーンにおいて、欠かすことのできない存在がトラベルトレーラーだ。今となってはモーターホームのような大型のバスタイプが主流となっているが、かつてはコンパクトなトラベルトレーラーの人気は絶大であった。特に1960-70年代の黄金期には自動車そのものにも負けない、非常に凝った作りのトラベルトレーラーが数多く存在したのだ。

日本ではいまひとつ普及が進んでいないトラベルトレーラーだが、なんといっても家をそのままクルマで牽引してアウトドアライフを楽しもうという発想そのものが大陸的で魅力をそそられる。もちろん日本では諸事情によってトラベルトレーラーをキャンプに導入するということは難しいかもしれない。しかし、見ているだけで旅情に駆られるアイテムとしては右に出るものはないだろう。そんなヴィンテージトレーラーを一堂に会した一大イベントがカリフォルニア・オクスナードにあるマーフィー・モーターミュージアムで開催された。

ヴィンテージトレーラーの愛好家にとって、ホリデーハウスはトレーラーデザインの理想型だ。ホリデーハウスは、自分にフィットするトラベルトレーラーを追究する人々によって深く愛されてきたブランドでもある。

ハリー&デイビッド・カンパニーによって考案されたこのホリデーハウスは、社長のデイヴィッド・ホームズによって構想されたものだ。元々フルーツバスケットの製造会社を経営していた彼はオフシーズンの1月から7月に労働者の雇用を維持する方法を探していた。また現代的なデザインの才能と旅行用トラベルトレーラーへの愛も併せ持っていた。彼の情熱はついに実現されることとなり、1959年11月オレゴン州メドフォードでホリデーハウスを製造をスタートしたのである。

当時のトラベルトレーラーの多くは「ハム缶詰」と呼ばれるほどシンプルな造形だった。木製のフレームの上にアルミニウム板が施されたものばかりだったのだ。一方でホリデーハウスは、じつに進歩的なスタイルだった。このため、ホリデーハウスは約200台が生産され、人々の注目を浴びることに成功した。しかし高価であったため、一般の人々には手の届かない高嶺の花でもあった。このため客層を拡大することができないままに、結局、ホリデーハウスは1962年1月に生産を終了することとなったのだ。

展示されているホリデーハウスのオーナーは、ミュージアムのキュレーターであり、イベントを企画したデビッド・ニール氏所有だ。デヴィッド自身、ミッドセンチュリーへのこだわりは強く、可能な限りトレーラーはオリジナルのままに保ち、インテリアもイームズ、ヴィトラ、ハーマン・ミラーなどを配し、ミッドセンチュリーのモデルともいうべき演出を完成させている。

PHOTO|KAZUTOSHI AKIMOTO
TEXT|Cal
PUBLISHED|2017
SOURCE|キャンプ・グッズ・マガジン Vol.1


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