ごくごく幸運な顧客が引き当てた エモリー製のポルシェ・911|North Hollywood,California

2016年3月、ポルシェがジュネーブ・モーターショーにおいて、新型のポルシェ・911Rを発表したのは記憶に新しいことだろう。50年ぶりに復活した911Rではあるが、ネーミングの由来となったのはご存知の通り1967年にホモロゲ取得を目指して生産された「911R」である。車名に冠された「R」もドイツ語の”RENNEN”、つまりレーシングの頭文字をとったものだ。

純レーシングカー・ボディを架した904や906とは異なり、市販モデルと同型のボディを架した911Rは欧州で開催された公道レースやラリーで大活躍し、ポルシェに名声をもたらした歴史的なモデルであったことは、良く知られた話である。

ポルシェのスポーツ&レーシングモデルに対して、強い畏敬の念を抱いているロッド・エモリーにとっても、この911Rは特別なクルマだ。このため、ごくごく稀に、356の作業時間に隙間があり、そして同じ様に911に強い興味を持った顧客がいた場合、「エモリー・モータースポーツ」では356ではなく、911をベースにした車両を製作することがある。幸運にもそんな偶然の一致により生み出された1台が、ご覧の1967年型ポルシェ・911Sであった。

現車はオリジナルでは2.0リッターだったエンジンを2.5リッターまでサイズアップ。点火系は911Rにインスパイアされたツインプラグ仕様へと変更し、これに901型の純正5速M/Tを組み合わせている。ボディも911Rと同様各部を軽量化。アルミ製デッキリッドにファイバーグラス製のフードやフェンダー、バンパーなど、800kg台といわれる本物の911Rに迫る軽量化を施して完成した。

ロッドは「本当はもっと911も製作したいんだけど、356のオーダーが多すぎて、911を製作できるのは全体の1/10ほどなんだ」と語る。幸運な顧客への納車を待つ911もまた、ロッド・エモリーの魔法によって、見事に輝きを増したクラシック・ポルシェであった。

【INFORMATION】
SHOP|EMORY MOTORSPORTS
WEB|https://www.emorymotorsports.com
CAR|1967 PORSCHE 911S

PHOTO|KAZUTOSHI AKIMOTO
TEXT|KAZUTOSHI AKIMOTO
PUBLISHED|2017
SOURCE|Porsche Life Style Book


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