世界中で同時開催される紳士の祭典「DGR」|Los Angeles, California

2012年、オーストラリアでひとつのチャリティイベントが誕生した。イベントの目的は、前立腺がんの研究支援と健康の促進であり、実際にイベントを通して参加者たちからの寄付も募っている。ただし、このチャリティイベントはそれだけではなかった。「The Distinguished Gentleman’s Ride(ディスティンギッシュド・ジェントルマンズ・ライド)」(以下ジェントルマンズライド)と名付けられたこのイベントは、直訳すると、“気品ある紳士たちの走り”となる。その名のもとに、参加者達は皆、紳士的なドレスコードを遵守し、自慢のバイクにまたがって会場へと集まってくるという、一風変わったスタイルのチャリティイベントなのだ。

世界平和、環境保護、医療・化学の進歩を支えたいなどなど、「世の中を紳士的なライダーたちからの協力を得て、良い方向に変えていきたい」と心から願う主催者の真摯な姿勢は、世界中のライダー達から共感を得て、これまでに多くの寄付や募金を集めることに成功してきた。

これがオーストラリアに在住するマーク・ハウアー氏が立上げた「ジェントルマンズライド」である。彼は、このイベントを世界中へ自然と広がっていくチャリティとして企画した。しかも、参加者自身が全身で愉しめて、さらにイベントそのものが広く注目を浴び、結果的に世界中へどんどん拡散していく形を望んだのだ。 仮に何も知らないあなたがこのジェントルマンズライドを目の当たりにしたとするならば、決してチャリティイベントだとは思わないだろう。

「お洒落に着飾った男達が愛車と共に優雅に休日を過ごしている」、なんて誤解しても不思議ではないハズだ。一般聴衆の見方はどうであれ、ひとたびジェントルマンズライドがスタートすれば、街中のいたるところで注目を集める。結果的にインターネットやSNSを通じてその情報は拡散され、ジェントルマンズライドの情報は瞬く間に世界へと拡がっていったのだ。まさにマーク氏の望んだ形で、ジェントルマンズライドはあっという間に世界中へと広がっていった。

数人のクラシックバイクファンの集まりから始まったこのイベントは、事実たった数年間で世界500都市、5万人の参加者を集めるほどの規模となった。本来の目的である寄付もオンラインを通じて集められ、今では1 度の開催で約5万ドル( 邦貨換算:約5 億2000 万円)にも至るほどだ。この急速な成長は、ただイベントを楽しむだけでなく、参加者の胸の中に、しっかりとチャリティとボランティアの精神が根付いているからこそだといえる。


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