ポルシェ・550をオマージュした「スペシャル・ロードスター」|North Hollywood,California

1962 PORSCHE 356 EMORY SPECIAL ROADSTER

ポルシェがル・マン24時間レースへ初参戦したのは1951年のこと。この時参戦した車両は排気量わずか1,086ccの356 SL Gmudクーペだった。市販車同様のボディにフェンダー・スパッツを装着しただけというこのクルマは、初参戦で総合20位を獲得、同時にクラス優勝も成し遂げた、ポルシェ・ワークスの歴史的な第一歩を飾った1台である。

「エモリー・モータースポーツ」のファクトリーには、この356 SL Gmudクーペの写真が大きく掲げられている。じつは、現在ポルシェ・ミュージアムに飾られている356 SL Gmudクーペの復元作業には「エモリー・モータースポーツ」が深くかかわっているのだ。

ル・マン参戦車両への熱い思いを抱く、同社の代表であるロッド・エモリー氏が、1954年にデビューしたレーシングモデル、ポルシェ・550をオマージュして製作されたのが、ご覧の1962年式「スペシャル・ロードスター」である。

この個体は前後のバンパーを廃したバンパーレス・ボディにロールドされたロッカーパネル、車高に合わせて拡大されたホイールアーチにスピードスター用のウィンド・シールドなど、550をイメージしたスタイリングとなっているのが特徴だ。

パワートレーンは914用の空冷4気筒エンジンをベースに2.4リッターまで拡大し、吸気系はフュエル・インジェクション化して最高出力185馬力を実現。これに911(901)用の5速M/Tを組み合わせている。

ブレーキはケイマン用のブレンボ製ディスク。ホイールは964用16インチ・ホイールをワイド加工して装着するなど、各所にレイトモデルの純正パーツを採用しているのもユニークなポイントだ。

「エモリー・モータースポーツ」が製作した初の「スペシャル・コンバーチブル」となるこの1台は、前述した通り550を筆頭にポルシェが生み出した数々のレースカーにインスパイアされたもの。インテリアも極力無駄なものを廃したミニマリズムを徹底し、シンプルにまとめられている。

【INFORMATION】
SHOP|EMORY MOTORSPORTS
WEB|https://www.emorymotorsports.com
CAR|1962 PORSCHE 356 EMORY SPECIAL ROADSTER

PHOTO|DREW PHILLIPS
TEXT|KAZUTOSHI AKIMOTO
PUBLISHED|2017
SOURCE|Porsche Life Style Book


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