タイプ930を徹底的に作り直した異端的カスタム・ポルシェ|Yokohama, JPN

軽量化されたマグネシウム製クランクケースの2.7リッターをベースにキャブレタター仕様の2.9リッターへ。73年型ポルシェ・911カレラRSをモチーフにした唯一無二の空冷ポルシェだ。日本のクラシック・ポルシェ界に新しい息吹をもたらす一台を紹介する。

ポルシェを純粋に愛する多くのマニアは時代考証に配慮したレストア手法を好み、純正部品の使用を徹底する。そうした伝統の方法以外でレストア&モディファイされた車両を「アウトロー」と呼び、最近にわかに注目を集めるようになった。定義は「正統派とは一線を画するもの」という実にフランクなもので、自由度はあるもののビルダーのアイディアやセンス、クオリティの高さなどが求められる。 

こうした車両作りのパイオニアとして知られるのがカリフォルニアに拠点を置く「シンガー・ビークル・デザイン」や「エモリー・モータスポーツ」だ。クラシック・ポルシェとモダンテクノロジーを融合したハンドクラフトの車両作りを徹底しており、トラディショナルなクラシック・ポルシェ界に新風を巻き起こしたことは周知のとおり。そうした特別なポルシェ作りの理念と重なるのが、ここに紹介するブランニューな一台である。

930型をベース素材に起用し、1973年型ポルシェ・911カレラRS仕様にハンドクラフトでリクリエイトしたものだ。すべて日本で施工され、フィニッシュを迎えたばかり。製作したのは横浜の「スーパーマシン(Super Machine)」。

アメリカ車を中心に修理やモディファイを行うプロショップだが、以前には930型にC6コルベットのスペシャルモデルZ06用のLS7エンジンを搭載するなど、アメリカ車を取り扱うショップならでの発想で、型破りなポルシェを誕生させてきた。そういった意味ではかなり異端的と呼べる存在である。

1年半前に手にしたというベースカーは、すべてのパーツを取り払い、モノコックの状態でプロジェクトはスタートした。全身剥離を行った後、フロントフェンダーをストレッチしてナローポルシェ仕様にカスタマイズ。素地修正を徹底した鈑金作業後は、RM製マスタードイエローで鏡面仕上げにペイントされた。 

エンジンは、マグネシウムケースの2.7リッターをベースにオーバーホール&チューニングが行われ、2.9リッターにボアアップ。ナローやRS定番のPMO46φキャブレター仕様に変更された。カムシャフトは信頼性の高いDougherty Racing DC40を選択、圧縮比10.3のハイコンプ仕様、パフォーマンス向上のためのモディファイがなされている。トランスミッションはポルシェ・915用5スピード。また、クラッチの操作性を向上するためにヘルパー・スプリングを追加装着している。

さらに、オーバーヒート対策としてフロントフェンダー内にオイルクーラーを新設。また室内のクオリティにもこだわり、ストックカーのスペックをアップデートするモディファイが追加された。 当時の新車よりも上をゆくスペックを携えた新生マシン、正統派をも唸らせる逸材と言えるだろう。

【INFORMATION】
BUILDER|TOMOYA WATANABE
SHOP|SUPER MACINE
WEB|http://www.supermachine.jp/
CAR|1978 PORSCHE 911SC
SPEC|2.7L TO 2.9L,PORCHE 915 5SPEED TRANSMISSION,ETC,1973 RS FUCHS WHEELS,ETC.

PHOTO|KOSUKE ARAI
TEXT|REMI KOHARA
PUBLISHED|2017
SOURCE|Porsche Life Style Book


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