Reyn Spooner|HAWAIIAN TRADITIONAL

Reyn Spooner

アロハシャツといえば、南国ムードたっぷりの派手なパターンを思い浮かべる人が多いだろう。1956年に創業した老舗アロハシャツ・ブランド、レインスプーナーReyn Spoonerは、その中で異彩を放っている。あくまでもトラッドにこだわるコンセプトの源は、カリフォルニアに生まれたメンズ・クロージング・ショップにあった。

「サンタカタリナ島から始まった物語」

サンタカタリナ島はロスアンジェルス港から南南西に38キロ離れた沖合に位置する、船でわずか1-2時間でのリゾート地だ。休日ともなれば、ダイビングやシーカヤックを楽しむ家族連れで賑わいをみせる。

1970年代の写真と思いきや、今も一部の商 品は本社ファクトリーで縫製している。変わらないスタイルが伝統を守る。

今も一部の商品は本社ファクトリーで縫製する。

老舗アロハシャツ、レインスプーナーのルーツは、意外にもこの小島にある。物語は、1949年レイン・マックロウが開いた一軒の紳士服店から始まる。

1940年代後半から50年代は、第二次大戦から戻った若者たちが青春を謳歌した時代だった。そのなかでハワイへの関心は急速に高まった。ハリウッド映画はハワイを舞台とした作品を盛んに作り、PAN AMをはじめとする航空会社はプロモーションに力を入れた。レインもハワイの明るさと可能性に惹かれた一人。1956年にオアフ島への移住を決意する。

ミシン1台でスイムウエアを作り始めたレインに転機が訪れたのは、1959年だった。タロイモ畑だった土地に巨大ショッピングセンターが建設されるという。アラモアナ・センターである。レインは、得意の紳士服店Reyn’s Men’s Wearをグランドフロアに出店する。なお、オープン時のテナントで、現在のアラモアナ・センターに残っているのは、レインスプーナーだけである。

メインランドからの観光客が激増すると、土産物としてのアロハシャツが大ブームとなり、レインも主力をアロハシャツにスイッチする。そして、1962年に米袋を材料にソフトで履き心地のいいスイムトランクスを作っていたルース・スプーナーとパートナーシップを結び、ブランドをレインスプーナーに改めた。

Reyn Spooner を代表するプリント柄といえば、「ラハイナ・セイラー」。

Reyn Spooner を代表するプリント柄「ラハイナ・セイラー」。

1963年、レインは画期的なアロハシャツを生み出した。それが裏生地を使い、ボタンダウンを採用した一品だった。それまでのアロハは派手な柄とテカテカの艶が売り物で、ラフに着るのが定番だった。それに対してレインが考案したアロハは、アイビースタイルを彷彿とさせるフォーマルさを備えていた。

ビジネスでも着られる、ネクタイをしてもおかしくない、タックインが似合うと、「太平洋のブルックスブラザース」と呼ばれて成功をおさめた。 さらに1966年には、現在のクールビズの原型「アロハフライディ」の指定ブランドに認定されると、評判が広がったカリフォルニアにマーケットを拡大、ハワイで花を咲かせたブランドが故郷で大きく成長したのだった。


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