電動化された、まったく新しい356ロードスターの楽しみかた


レプリカの域を超えた、優れた品質のコーチビルド

インターメカニカはイタリアで誕生したレプリカモデルのメーカーだ。同社はハンガリー生まれのカナダ人フランク氏とチェコ生まれのカナダ人ポーラ・ライスナー氏により1959年にイタリア・トレノで設立された。当初よりGM製のV型8気筒エンジンを搭載した、独自のスポーツカーを製作するなど、美しいスタイリングとモダンなパワートレーンを組み合わせた車両の生産を行い、米国にも輸出されて高い人気を誇っていた。

ところが、提携先メーカーとの決裂により大きな打撃を受け、イタリアから撤退することを余儀なくされ1975年にアメリカ・ロサンゼルスへ移転、さらに1982年には現在の地であるカナダ・バンクーバーへ再度移転し、業態もポルシェ・356スピードスターのレプリカモデルの生産を主として再スタートしたのだ。

そもそもVWから生まれたポルシェ・356は、その誕生の経緯もあってか、高価な356の傍らには常に安価に楽しめるレプリカの存在があった。タイプ1のシャシーと機関はそのままに、FRP製のボディを架装したレプリカは、気軽にポルシェ・356の雰囲気を味わえる大人のホビーとしても人気を誇った。このため、インターメカニカだけに留まらず、ポルシェ・356のレプリカモデルには数多くのコンペティター(競合者)が存在したのである。

しかしながら、他のレプリカとインターメカニカが辿った道は大きく異なった。安価なレプリカの過半はVW・タイプ1の中古シャシーを流用したのに対し、インターメカニカは、鋼管製のオリジナル・シャシーを開発。サスペンションもIRS(独立懸架式リアサスペンション)を採用するなど、より高い剛性とハンドリングを実現させたのである。

もちろん、FRP製のボディにも手を抜かなかった。ドアとボディの間隙は一定に仕上げられており、極めて精巧な外観を与え、インテリアは顧客の好みに応じてシートや表皮を選べるようにするなど、まるで英国のビスポーク・モデルのようなクルマを提供したのである。このため、数ある356レプリカモデルの中でもインターメカニカ製の356は、他社とは一線を画すモデルとして扱われているのである。


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